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8話 準備と新事実

 ベッドで服を脱がされ始めてから、シャワーを浴びてないことに気づいた。リュシエンは気にしないと言ったが、何日も馬車に揺られ、先ほどまで人の多い王都を回っていたオレの身体は当然汚い。おそらくオレが挿入される側になるので洗浄もしないといけないからと説き伏せ、浴室に駆け込んだ。  あまり時間をかけると中に入ってくるかもしれないと最低限綺麗にして出てきたのが少し前。今は交代でリュシエンがシャワーを浴びに行っている。オレが身体を清めたのに自分だけ汚いのは駄目だからと結局彼も身を清めに行ったのだ。 「んーねえな……」  洗面台やベッド周りを確認したが、目当ての物が見つからない。部屋には滞在に必要になる物がいろいろ備わっていたが、ヤるための宿じゃないから置いてないのだろうか。 「なに探してるんですか?」  背後から声が聞こえ振り向くと、湯上がり姿のリュシエンが立っていた。少し上気した頬が色っぽい。  オレはサイドテーブルの引き出しを閉めながら答える。 「潤滑油。こんなことになるなんて思わなかったからな。ここに置いてねえかなって」 「それなら大丈夫です。僕、持ってきましたから」  笑顔で言ってリュシエンは持ってきた鞄を開けた。中からいくつかの瓶を取り出し、サイドテーブルに置いていく。 「準備いいな……」  小さく呟いてから、そもそもオレをオトすために王都まで呼んだんだったなと気づく。瓶の1つは旅の途中よく見た物だが、ほかの小瓶はなんだろうか。 「潤滑油以外はなんだ?」 「媚薬と痺れ薬です。アディさんが抵抗したときに使う予定だったので今はいらないんですが……なにがあるかわかりませんからね」  楽しそうに説明するリュシエン。本当にこいつは先ほど馬車の上で人々から賞賛を受けていたやつと同一人物なんだろうか。旅を終えたことで役目だけじゃなくいろんなものから解放されてしまったようだ。 「痛くしなけりゃなんでもいいや」  オレはベッドに仰向けに寝転がり、バスローブの前を開いた。上から覆い被さってきたリュシエンは、オレの口や身体にキスをしながら自分も着ていたバスローブを脱いでいく。オレのとまとめてベッドの下に落として、素肌同士を触れ合わせる。まだ夜も更けていないというのにこんなことをしていると思うと、少しだけ倒錯感が背筋に走る。  そんなことを考えているとリュシエンの唇が乳首に触れた。片方を舌でねっとりと舐め、もう片方は指で転がしてくる。 「ぁっ♡ ん、なんで……っ♡」  旅の道中、抜き合ったときにたまにリュシエンはオレの乳首に触りたがった。セックスが出来ない分性的な行為への興味が強いんだろうとたまに指で触るくらいは許していた。それでも舌で舐めることは駄目だと言って許していなかったのに、なぜだかこのぬくもりを知っているような気になる。  ふふ、と笑うリュシエンの吐息が突起にかかってくすぐったい。 「えへ、実は……アディさんが寝てる間にこっそり」 「は、嘘だろ……あんっ♡ いや、たしかに、んんっ♡ 乳首大きくなったかもって、ぁ、思ったけど……っ、ゃあっ♡」  最近――聖者一行から抜けてからだが、時々乳首が服に擦れてしまうようになったのは目の前の男のせいだったようだ。鏡で見たときに昔よりぷっくりした気がしたのは、気のせいじゃなかった。思えば夜中トイレに目覚めたときに乳首がジンジンしていることがあったような。 「お前、んっ♡ ほかにもなんかしてる、だろ、ぉっ♡」 「んー、ふふふ♡」  ごまかすように微笑みながらリュシエンは乳首を弄り続ける。すっかり硬くなった突起が指や舌で転がされるとたまらなく気持ちいい。腰が疼くような感覚を覚え、下半身に熱が集まっていく。 「アディさんのことが好きで好きでガマンできなかったんです。少しでも触れていたくて……」  乳首を舌で舐りながら上目遣いで眉を下げるリュシエン。オレがこの表情に弱いのを知っているから。  まあ、娼館でも乳首を弄りたがる娼婦はいたしな。もう開発されてしまったものはしょうがないし、気持ちいいから許してやろう。 「しょうが、ねえな、っ♡ いっぱい触っていいから、ぁふっ♡ 寝てるときは、ナシな……っんんっ♡」 「はいっ♡ やっぱり起きてるときの反応の方がいいですからね。アディさんも相変わらず可愛い声出して喘いでくれてますし♡」 「なっ……、んんっ♡ これは、ぁっ♡ お前が……っんんぅっ♡」  反論しようとすると乳首を強く弄ると同時にリュシエンが空いている手で亀頭を撫でてきた。先っぽを撫でられると身体の奥がゾクゾクしてしまう。  愛撫されて声を出してしまうのは、旅の道中リュシエンに散々教え込まれたからだ。はじめは手で押さえたり唇を噛んだりして声を抑えようとしたのに、声が聞きたい、声を聞かせてくれないと気持ちよくなれないと懇願されてしまった。性欲を持て余している多感な青年に同情し、仕方ないと付き合ってやった結果がこれだ。今ではクセになってしまって、オナニーするときも声が漏れるようになってしまっていた。  その元凶はそしらぬ顔で笑うと、身体を起こして離して後ろにずり下がる。 「アディさん、後ろも準備するので四つん這いになってくれますか?」 「ん……♡ わかった……」

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