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第6話
「二人とも言いたいことがあるのなら聞いてやろう。時間は十分にある、好きなだけ話してみるといい」
ここは謁見の間。
玉座には国王と正室。
その両側には側近たちが一列に並んでいる。
そして、国王と正室の眼前、冷たい大理石の床に側室と近侍が跪いていた。
二人の両手は後ろ手で縛られていた。
激しい拷問により衣はずたずたに引き裂かれ、いたるところに血が滲んでいる。
近侍の瞼は暗赤色に腫れあがり、顎も折れているのか、歪なまでに歪んでおり、国王が愛した近侍の美しい顔は見る影もない。
側室も柔らかな顔に無数の傷があり、容赦なく鞭打たれたことは明らかだ。
ここに至る数日の間、二人は昼夜問わず拷問を受けていたのだ。
「そうか……、この期に及んでも、尚、己の侵した罪を認めないというのだな」
「王様……、私は……王様を裏切るようなことは……一切ございません」
「王様……、私も……そのようなことは……決して……」
側室も近侍も拷問を受けている間、わずかな水しか与えられなかったため、口の中は砂漠のように干上がり、しかし口を動かせば、鞭打たれたせいか、口の中から血が滲んでくる。
錆びついた匂いに吐き気を模様しながらも、二人は無実を訴えた。
二人にとって、これは青天の霹靂にほかならない。
二人の妃が子を産んだ後、国王の命により近侍は正室、側室と関係をもつ必要はなくなった。
近侍の国王の寵愛を独占していたのだ。
それにも関わらず、近侍と側室は人目を盗んでは逢瀬を重ねていたというのだ。
国王の不条理な命で始まった二人の情交だったが、いつしか本物の愛へと変わっていったという——
「ふん、何も言わぬか、それとも何も言えぬか。まぁ、いい。ならば、それまでのことよ––––」
「待って! 父上、待って! 」
小さな男の子が側室に抱きついた。
「父上、お願いです。これ以上、母上を傷つけないで! 」
「坊や! 」
側室の子がどこからか話を聞きつけ、乳母たちの反対を押し切って駆けつけたのだ。
「お前か、こんなところで何をしておる、子供がこのような場所にいるべきではない」
「母上は悪いことはしていません! 父上、信じてください! 」
「お前は下がっていなさい! それとも、何か? お前も一緒に罰を受けるか? あぁ、そうか、もしやお前は私の子ではなく、そこの二人の子かもしれんからな」
「王様、なんと言うことを! 」
近侍が叫んだ。
側室と正室は国王の言葉に愕然とした。
周りの側近たちにも細波のような静かな動揺が広がった。
国王に進言した側近はとうの昔に失脚しており、この場にいる側近たちは、かつて国王が近侍に命じて二人の妃を孕らせたことを誰一人として知らない。
国王の言葉は真実であったが、余計な憶測を招くようなことは避けなければならない。
臣下につけ入る隙を与えてはならない。
国王は威厳を込めて言った。
「お前は間違いなく私の息子、私の大事な後継者の一人だ。母を思う気持ちに免じて、今回の非礼は許してやろう。だが、いいか、お前たち! お前たち、二人は裏切り者だ! 裏切り者は死をもって詫びなければならない! 護衛! 二人を始末しろ! 」
「御意! 」
「父上、やめて! お願いです! お願いです! 」
護衛の一人が側室にしがみつく子を引き離した。
子は護衛の腕を噛み、激しく抵抗したが、大人に勝てるはずもなく、強引に引き離されてしまう。
「母上、母上! いやだぁー! 」
子は手を伸ばした。
母の手をつかんで、一緒に逃げるんだ!
側室も手を伸ばした。
「坊や! 」
無常にも複数の剣が側室と近侍の体を貫いた——
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