fujossyは18歳以上の方を対象とした、無料のBL作品投稿サイトです。
私は18歳以上です
黒と白は愛入れない 第三話 | 美玲の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
黒と白は愛入れない
第三話
作者:
美玲
ビューワー設定
10 / 17
第三話
大主
(
おおぬし
)
がそばに控えていた女の名を呼んだ。
倫寧
(
りんねい
)
と呼ばれた女は頷くと光安に巻物を手渡した。 「先日、
友安国
(
ゆうあんこく
)
の皇太子自ら
私
(
わたくし
)
のもとにおいでになり、跪いて何度も拝礼されました」
光安
(
こうあん
)
が大主に視線を向けると、大主は大きく頷いた。 光安は巻物を紐解き、その場で目を通しはじめる。 読み読み進めるにつれ、光安の秀麗な顔は青ざめ、巻物を握る手はかすかに震えていた。 「弟…… 」 光安の脳裏に忌まわしい記憶が蘇ってくる。 「何故、今になってそのようなことを? 」 光安は険しい表情で大主を見据えた。 その問いに倫寧が答えた。 「皇太子は以前から王母とともに、国王には内密で弟を探していたとのこと。その王母も先日亡くなり、国王も長く病床に伏せっており、実質的な実権を握った今でも探し続けているのです。呪われていようとも、たった一人の弟には違いないと。いつの日か、その者を宮廷に迎え入れ、国王となった暁には二人で友安国を盛り立てていきたいと、そう申しておりました——」 張り詰めた緊張感が漂うなか、大主が重い口を開いた。 「光安。十五年前の、あの出来事を覚えているだろう? 」 光安ははっとなって大主の顔を凝視した。 そして、声を搾り出すように言った。 「はい。一日たりとも忘れたことはございません 」 拳をきつく握りしめた。 「忘れるはずがございません。あの時の記憶はこの胸に……、この全身に刻み込まれております 」 大主は深く頷いた。 「そうだな。お前はまだ幼かったが、忘れるはずもないな。友安国の宮廷を端に発した、あの忌まわしい一件——」 「はい。白神の祝福と黒神の呪いを受けた子の母親が目の前で殺され、その発した怒りは——」 光安の脳裏にあの日の悪夢が蘇った。 光安は思わず長い睫毛を伏せた。 押し黙ったまま俯くと、見かねた大主が言葉を継いだ。 「まさに天を貫くほどの黒い波動——恐ろしいほどの威力であった。怒りだけであのようなものを生み出すとはな。しかもあの時、まだ五歳の子供だった」 あの時—— 子が放った黒い波動は、竜仙山りゅうせんざんの山頂に張られた結界の一部を打ち破り、迷うことなく天界へと向かっていった。 異変を察知した神々が波動を止めるべく対処にあたったが、駆けつけた大主もその波動と相対することとなった。 大主が放った白銀の波動と黒い波動が激しく衝突し、互いに譲らず、決して交わることもなく、ただ相手を飲み込もうと一進一退を繰り返していた。 一刻ほど経った頃だ。 その均衡が突如崩れた。 何の前触れもなく黒い波動はその場で爆ぜ、一瞬で消えてしまったのだ。
前へ
10 / 17
次へ
ともだちにシェアしよう!
ツイート
美玲
ログイン
しおり一覧