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黒と白は愛入れない 第七話 | 美玲の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
黒と白は愛入れない
第七話
作者:
美玲
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第七話
蘭宣
(
らんせん
)
は豪快に笑った。 その屈託のない笑顔は、初老を迎えたとは思えないほど若々しい。 どんな堅物もつられてつい笑顔になってしまう、そんな笑顔だ。 「師匠。
仙術
(
せんじゅつ
)
の師匠として、白神のお一人として、もう少しご自身のなさる行動に責任と自覚をお持ちください」 素っ気ない言葉とは裏腹に、師匠を見る光安こうあんの眼差しは柔らかく、頬も自然も緩んだ。 蘭宣は気まぐれな性格で、暇を持て余すと、姿を変えては人界に降り、人々に徳を説いたり、仙術を教えたりしていた。
白神
(
しらかみ
)
一族にあっては異端といえる存在で、生真面目な光安とは正反対ではあった。 だが、心根の深い部分で通じるものがあるのか、光安は蘭宣の奔放な様に呆れることはあっても、この飄々とした仙術の師匠を心から尊敬していた。 師匠も師匠で、この殊勝な弟子をたいそう可愛がっていた。 それ故、光安に苦言を呈されても怒るどころか、むしろ光安に怒られるのが楽しくて、嬉しくて仕方ないと言った様子だ。 「ほほっ! 弟子のお前にそんなこと言われるとはな! お前さんの方こそ、余裕とか余白といったものはないのかね。何事にも真摯に向き合うのは良いが、遊び心も必要だぞ。神は本来、何事にも縛られず、自由で寛大であるべきだ」 「そうかもしれませんが、魔を倒すのに寛大さは必要ないでしょう。付け入る隙をつくるだけです」 「ほう? では聞くが、お前さんが魔に侵された時はどうするのだ? 」 光安は自信に満ちた声で答えた。 「私は神です。私の心に付け入るなど不可能にございます」 蘭宣は「まぁ、いいだろう」と空になった酒壺を覗き込むと、呟くように言った。 「お前は道を誤ることはないとしよう。しかし、お前さんの見知った者たちが魔に魅せられた時、どうするのだ? 」 「師匠。我々は神です。自らのの使命を果たす限り、我々が魔に魅せられるなどありえません」 光安はそのことを疑ったことはない。 「師匠、今日ここに参ったのは大主おおぬしの命によるものです。師匠から詳しい話を聞くようにと。どうか大変申し訳ないのですが、私はこれから出立しなくてはなりません。 師匠も既にご承知のことと存じますが、十五年前、白神しらかみの祝福と黒神くろかみの呪いを同時に受けた者がおります。 その者の行方は未だもって分かっておりません。最近ことに魔物の動きが活発になり、人々の生活が脅かされているとのこと。万が一、その者の影響とあらば、私はその者を探し出して、しかるべき対処をしなければなりません。よって——師匠との問答はここまでです」 光安は大主の命で蘭宣を訪ねたにもかかわらず、立ち去ろうときびすを返した。 「光安よ、そう怒るな。人界に降りる前に、大主からここに来るように言われたのであろう。まったくお前さんときたら、他愛のない話というのが本当に苦手だな。大主にもそう言われたであろう」 光安は歩みを止めると、蘭宣の方を向いた。 頬はほのかに赤く染まっている。 大主にも言われたことを蘭宣にも同じことを言われ、さすがに師匠に対して非礼であったと思い、光安は頭を下げた。 蘭宣が口角をあげると、顔に刻まれた皺はさらに深くなった。 「まぁ、座りなさい」 蘭宣は気にする素振りもなく、
安室
(
あんしつ
)
の障子を開けると、中に入るよう手招きした。
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美玲
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