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黒と白は愛入れない 第十七話 | 美玲の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
黒と白は愛入れない
第十七話
作者:
美玲
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第十七話
聖羅
(
せいら
)
は煙管を煙草盆にしまうと、長椅子の上に片膝を立て、その上に肘をおいた。 更にその手に顎を乗せると、何やら思案気な様子で言った。 「さぁ、どうするかな。まだ、あの場所にいるかもしれないし、術師って奴が退治したのかもしれない……」 聖羅は背筋を伸ばすと、片膝をポンっと叩いた。 「まぁ、ちょっと様子見に行ってみるか。もし、いるならいるでいいし、そうでなくても、一向にかまわないさ」 聖羅は寝所に行くと、着ていた黒衣を放り捨て、先程まで着ていた赤い衣に着替えた。 鏡台の椅子に座ると、長い髪を高い位置で一本にまとめ、軽く化粧を施し、最後に唇に紅をさした。 化粧をしなくても、闇に紛れれば男と間違われることもないだろうが、どこで誰に出くわすか分からない。 聖羅は寝台の掛け物をひっつかんで客間に戻ると、長椅子で深く眠り込んでいる
至恩
(
しおん
)
にそっとかけてやると、目を細めていった。 「ちょっと、女に会いに行ってくる。朝までには戻るから、ゆっくり寝てな」 聖羅は部屋の行灯を消し、自らは携帯用の小さな行灯を手にすると、もう一度寝所に戻り、引き上げ戸を持ち上げた。 初秋の心地よい夜風が不意に聖羅の頬を掠めた。 聖羅はそこからひょいと身を乗り出し、軽やかな動作で屋根上へと移動した。 すっかり夜も深まり、外は深い闇に包まれていた。 月は厚い雲の後ろに身を隠し、気まぐれな夜風が吹かない限り、その美しい姿を拝むことはかなわないだろう。 「宋閑が言ってた
新渓
(
しんけい
)
の外れの川って……」 夜目が利く聖羅は闇に慣れると、おおよそではあるが、寝静まった新渓の町並みを捉えることができた。 視線を遠くへ広げていくと、町外れの、とある一角に水路らしきものが見えた。 「あれをたどっていけば、川に行けるか」 聖羅は夜空を見上げると指笛を吹いた。 「さぁて、今夜はどんな美人に会えるかなぁ、楽しみ、楽しみ」 聖羅は不敵な笑みを浮かべると、屋根づたいを一足飛びに駆け抜けていった。 遠く遙か上空闇夜を切り裂くような鋭い鳴き声が鳴り響いた。 聖羅は難なく町外れの水路にたどり着いた。 暗闇に水の流れる音が聞こえるばかりで、辺りは静寂に包まれていた 聖羅は親指と人差し指、そして中指の三本の指を軽く擦り合わせ、そこにふぅっと息を吹きかけると、その指先に小さな青白い炎が現れた。 携帯用の行灯を広げ、その中に炎を移すと、仄かな明かりが周囲を照らした。 「こっからは、のんびり歩いていくか」 聖羅はのんきに口笛を吹きながら、水路沿いの水が流れていく、その反対方向へ歩き始めた。 ここにきて、初秋の宵にふさわしい涼やかな風が吹き始めた。 つい先程まで隠れていた月も、丸く透き通るような白肌を見せている。 聖羅はその場で立ち止まり、夜空を見上げる。 一羽の鳥が月を横切るのが見えた。 「そうか、満月か……。美人に会うにはうってつけだな」 そう言うと、またもや口笛を吹きながら歩き始めた。 四半刻歩いた後、聖羅は新渓の外れにある川にたどり着いた。 月はまたもや雲に隠れてしまい、明かりと言えば聖羅の照らす行灯のみだ。 聖羅は闇を友とするように、臆することなく、しっかりとした足取りで川沿いを歩いていく。 すると、ついに魔物が出るという赤い橋がおぼろげな姿を現した。 「ここだな。思いのほか遠かったけど、遠ければ遠いほど、時間がかかればかかっただけ、出会った時の喜びはひとしおってもんだ。どうか、俺好みの美人であってくれよぉ」 聖羅は嬉々として赤い橋へと近づいていった。
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美玲
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