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第二十四話
今宵、国王の相手を務めるこの男は数日後に流刑に処せられるはずの罪人であった。
男はとある罪で牢に入れられていたのだが、数刻前、役人が男を訪ねてきた。
ほの暗い明かりが小さく揺らめく中、照らし出された男の顔は秀麗であった。
その役人が何の前置きもなく、男にこう言った。
ある条件を受け入れれば、恩赦によって流刑はおろか、罪そのものが免除され、かつ一生食うに困らぬ銀銭を与えられるであろう――
「それは……本当ですか? 」
男は願ってもいない提案に一縷の希望とほんの少しの猜疑心を同時に抱いた。
流刑になるほどの罪を犯したとされる自分がどうしてそんな恩恵に浴することができるのか。
何か裏があるのではないか。
家に押し入り、金品を盗み、娘を犯し殺したのちに捕縛された。
犯した罪は一度や二度ではない。
犯した娘は一人、二人ではない。
殺した者の数はーー覚えていない。
そんな自分が無罪放免となる――
男はある条件とは何なのか尋ねた。
たとえ条件が何だろうと、男はやるつもりではあったが。
役人は男の意図をその目に見てとった。
凍てつくような視線を男に向けながら言った。
「お前はありがたくも国王陛下の今宵、一夜かぎりの相手をするのだ」
「えっ? 夜の? 」
まさかある条件とは、庶民の間でまことしやかに噂されていた男色の国王、その相手になるとは!
男はその突拍子もない話に、信じられないと首を横に振った。
そんなことがあるのか?
そんなことでいいのか?
男は深く考えることはしなかった。
国王と一晩過ごせば自由になれる、一生困らない生活ができる!
俺は自由になれる!
簡単なことじゃないか!
こんな簡単なことでいいのか!
「お役人様。私でよければ国王様のお相手、務めさせていただきます。ですが、お約束は必ず守っていただけるので? 」
「ことが無事に済めばお前は自由の身だ。一生左うちわで暮らせるだろう」
役人は懐から小さな銭袋を取り出すと、手付けだと言って男に渡した
「あの、お役人様、もう一つお尋ねしたいことがございます」
男はふとある懸念を抱いたのだ。
男は女を抱いたこと――非道にも強姦も含めて――経験は数え切れないほどといっていいほどたが、男に関してはまったくのど素人であった。
国王を抱けばいいのか、それとも国王に抱かれればいいのか。
腹はくくってみたものの、未知の世界に足を踏み入れようとしているのだ。
まして礼を失するようなことがあれば、国王の逆鱗に触れたが最後、自由の身になるどころかその場で処刑される可能性もあるかもしれない。
確認しておかなければ――
役人は男の問いが何であるかは男が言う前から分かっていた。
もう何度もこのようなやりとりをしてきているのだ。
問いかける男の顔を真正面から見据えた。
「そうだな、お前が心を尽くせば、国王陛下は叩頭の礼をもって、お前を受け入れるだろう」
男は深々と一礼した。
役人からは見えないが、男の片方の口角はこれでもかというほど上がっていた。
なるほど、叩頭の礼――
国王は俺に尻を向けるってことだな。
そして、俺は国王に尻に突っ込んでやればいい。
女とやるのと変わりはしない、楽勝だ!
男は自由への渇望とともに無沙汰であった色事から、たとえその相手が男国王であったとしても、俄然やる気が湧いてきて、既に男の股間は熱く硬くなっていった。
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