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第9話 ラーメン食ってセックスして寝とけ
「おー今日は空いてんな」
海皇がバイクを店先に停めてヘルメットを外す。その瞬間、ふわっと鼻をつく香水の匂い。けど、嫌な感じじゃない。女物の軽い感じのだからか?
「いつも行列だからな。平日の昼過ぎだし」
俺もそそくさとヘルメットを外して海皇に手渡す。15分近くバイクの後ろに乗ってたからかケツがじんわり痛い。はやく椅子に座りたい。
「お前は何にする?」
「俺は並の味玉トッピング」
「いつものやつか。レポート書き終わったんだしご褒美でチャーシュー倍にしたら?」
「太るから拒否」
「ストイックだな、ほんと。いちごはあんなに食ってたのに」
「うるさい。引き合いに出すな。いちごとラーメンは違ぇだろ」
「はいはい」
海皇が食券を購入してくれる。店内のカウンター席は数人の客がいるだけで、すぐに椅子に座ることができた。
厨房からもくもくと白い湯気が立っているのが見える。それと、床は油っぽくで滑りやすいから歩く時は気をつける。これ、ラーメン屋の極意。
「そういやあそろそろだな」
「何が?」
突拍子もなく聞くものだから、俺は思考停止していた。レポート書き終わってやっと落ち着いたところだから。
「付き合って1ヶ月記念日」
「ぶっ」
お冷を飲んでいるところだったから、案の定むせた。げほげほやってたら、周りの客と店主の視線が集まって死にたい。
「おい。そんなデカイ声で言うもんじゃねえだろ」
「なんで? 別に気にしなくていいじゃん」
「お前なー……」
詰め寄る俺をひらひらかわして笑顔にんまりの海皇。ちょうどその時、ラーメンが着丼した。
「うまそー」
「おい、さっきの話気になるだろ。教えろよ」
「まあ、食ってからなー」
そう言ってラーメンと向き合い始めてしまった。
仕方ねえな。俺も腹減ってるしまずは食うか。
こってり豚骨ラーメン。味玉付きで味が染み込んでて最高なんだよなこの店の。自分家で再現してみたけど、なんか違う。きっと秘伝のつけ込みをしてるんだろう。
チャーシュー倍はあいつの提案だけど悪くないな。ご褒美メシって感じ。
それにしてもあっつ。汗が止まらん。帰ったら即シャワー浴びてえ。
結局、ものの15分程度でラーメンを完食してしまった。
「うまかったあ」
「安定だな」
海皇のバイクにまたがり俺の住むアパートへ。途中、コンビニで酒とつまみをいくつか買った。安定のネコネコマートさまだ。
ここで面白いのが、ネコネコマートの高校生とおぼしきアルバイトくんが俺と海皇のコンビがレジに行くといつもびっくりしたような顔を浮かべるのだ。
レジそのものは正確だし早いから細かいことは気にしてないが、変に気取られるのもだるい。
「ただいまー」
「一応、俺ん家なんだけど」
「ほぼ俺ん家と同じだろ」
部屋に入ってすぐソファに座り込む海皇。バイク運転させてたし、ゆっくり休めと気遣い程度で見守り、さっき買ったものを冷蔵庫に入れていく。
「まじあっちーな」
エアコンで冷房オン。
さっそくシャワー浴びようと、バスタオルと下着を洗濯バサミから外すと、怪獣が背中に乗ってきた。
「汗くさいからやめろよ」
「別に? 新は全然くさくないよ。自信持って?」
「お前なあほんと余計な一言がウゼぇ」
「じゃあシャワー浴びてからな」
やっと離してくれた大怪獣。
シャワーを浴びている途中で、頭に浮かんだ川柳。
『ラーメン食ってセックスして寝とけ』
みたいな展開になったらアホすぎて笑う。
その後、笑えない出来事が俺に起きた。
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