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はじめて*
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盗賊のお頭さんは、ボサボサの茶色がかった黒髪に、肩から何かの動物の毛皮をかけていて、体格の良い、いかにもそれっぽい雰囲気の人だった。
大きな椅子に腰掛けて、足を片方組んで、頬杖でもつくような感じで僕達を見下ろしていた。
ただ、僕はもっとガハハと笑う感じをイメージしていたけど、その人はクックックと喉の奥で笑う人だった。
カースが、僕達を拾って来たこと、ここに置くことを伝えると「お前の好きにすりゃいいんじゃねぇの」と口端を上げたたまま答えた。
「……ただ、その分お前はもっと俺の言うことを聞けよ?」
じろりと、舐めるような視線を、お頭と呼ばれた男がカースに向ける。
「……分かっています」とだけ、目を合わせずにカースが答えた。
「そんじゃ、あいつらに喰われる前に、まずは俺が味見しとくか」
お頭が立ち上がる。
「ひっ」と隣から小さな悲鳴が聞こえて、姉が真っ青なことに気付いた。
お頭は、そんな姉をどこか楽しそうに見ている。
「お姉ちゃ……姉に、痛い事をするんですか?」
「ん? まあ……、そうだな」
「そのお仕事、僕が代わりにできませんか?」
ぶはっと、お頭がふき出した。
そのままお腹を抱えてしばらくクックックと笑っていたお頭が、目尻に溜まった涙を甲で擦りながら答えた。
「ああ、いいぜ? その代わり、お前、俺が満足するまで付き合えよ?」
「お頭……」
楽しそうなお頭に、カースが咎めるような声を出す。
「いいじゃねぇか、姉ちゃんを守りたいっつーやつだろ。俺ぁ嫌いじゃないぜ?」
不意に、お頭がずっと浮かべていた笑いを消した。
「その結果がどうなるのか、俺がその体にきっちり教えてやるよ」
カースが、心底嫌そうな顔で眉をしかめて僕を見る。
僕は、お姉ちゃんを守れたみたいで誇らしくて、その意味まではよく分からなかった。
「カース、準備ができたら連れてこいよ」
「…………はい」
カースが渋々答える。
「嫌そうにすんなよ、本人の希望じゃねぇか。お前、色々教えてやれよ」
「……」
お頭は、返事をしないカースの側まで来ると、お頭と目を合わせないようにしていたカースの顎を手で引き寄せた。
「なんだ、妬いてんのか?」
「っそんなわけ……っ!」
カースは、バッとお頭の手を振り払うと「行くぞ」とだけ僕達に告げて部屋を出て行った。
カースの後を慌てて追いかける僕達の後に、お頭のクックックという笑い声だけが残った。
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盗賊達のテントからそう遠くないところに川はあった。
川の水は澄んでいて、ちょっと冷たそうだった。
カースはまだ不機嫌そうだったけど、川に入ると僕を呼んだ。
「お前も下を脱いで入ってこい」
「え?」
「準備が要るんだよ……」
僕は良くわからないけど言われた通りにする。
カースは僕の肩を掴むと、そこにもたれるように屈んで僕の後ろに腕を回した。
長い指が、何かを探るように僕のお尻を伝う。
「な、何の準備……?」
「お前な……これから何されんのか分かってないだろ」
ため息混じりのカースの声が、耳元で聞こえて、なんだかくすぐったい。
「しゃーねぇな。おい、俺を見ろ」
「え?」
見れば、カースの空色の瞳が淡く輝き始める。
空色は滲むように揺れるとその姿を輝く宝石のような紫色に変えてゆく。
「すごい……きれい……」
僕の呟きにカースはほんのちょっと苦笑を浮かべて、言った。
「そのまま、この紫色だけ見とけよ」
「うん……」
『これからお前がされる事は、痛い事じゃない。気持ち良い事だ』
「うん……」
紫色が、じわりと揺れて、澄んだ空色に戻っていく。
「もういいぞ」
「え、あ、うん。……うん?」
戸惑う僕の様子に、カースはわずかに苦笑を滲ませて言った。
「俺の……とっておきだ」
「えっと……よく分からないけど、とっても綺麗だった」
僕がにっこり笑うと、カースが、ほんの少しだけ照れたみたいだった。
「いいか……力抜いとけよ」
カースが、僕を前から抱きかかえるようにして、またボクのお尻に手を回した。
「う? うん……」
カースの長い指が、じわりと僕の中に侵入する。
「え、え!?」
「いいから、力抜いとけ」
「う、ん……」
「水入れるぞ」
「え、ひゃ、ぅ……っ」
何かヒヤリとしたものが当てられて、そこから水が入ってくるのがわかる。
冷たいものが直接お腹に入ってきて、骨まで凍えて震えそうになる。
「な、に、してるの……?」
自分の声が、震えているのに気付く。
「下準備」
カースは短くそれだけ答えた。
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「よく来たな」と、お頭は最初に見た時と同じような顔で、笑った。
おずおずと僕が前に出ると、ここまで連れてきてくれたカースが帰ろうとする。
つい不安になって、その服の端を掴んでしまい、カースが足を止めた。
「なんだ、帰るのか? 俺は三人一緒でもいいんだぞ?」
お頭のクックッと笑う声がする。
「……遠慮します」
カースがそう告げて、僕の手をそっと解いた。
僕はてっきり振り払われると思っていたので、嬉しいような、でも淋しいような、良くわからない気持ちになる。
ポツンと取り残された僕にお頭が声をかける。
「ほら、こっちに来い」
ポンポンとお頭が、自分の膝を叩いて示す。
お頭は、カースのような藁のベッドじゃなくて、ふかふかの布団の上で僕を呼んでいた。
にっと悪戯っぽい笑顔を向けられて、僕はなんだか恥ずかしくなる。
お頭の隣に並んで座ろうとした僕を、お頭がひょいと自分の足の上に乗せた。
「わ」
「なんだ軽いな。ちゃんと飯食ってんのか?」
「た、食べて、ます」
「ほんとかよ。お前歳はいくつだって?」
「七つです」
「そんで敬語が使えんのは大した事だが、こっから先は二人きりだ。堅苦しいのはよそうぜ」
そう言って、お頭は僕の頬を大きな掌で包む。
反対側の頬に顔を寄せると「今だけ、ゼフィアって呼んでみな」と僕の耳元で囁いた。
背筋がくすぐったいような、変な感じがして、僕は少し身をよじった。
「ゼフィア?」
「そ。俺の名だ。お前は何つったっけな、えーと」
「リンデル」
「ふん、可愛い名前じゃねぇか」
ニヤリと、どこか嬉しそうに笑うと、お頭……ゼフィアは僕の耳たぶを舐めた。
「う、え……え?」
「どうした?」
ゼフィアの囁くような声が、すごく耳元で聞こえる。
「ぼ、僕の耳、食べちゃうの?」
ぶはっと、彼がふき出すのは、これで今日二度目だった。
「なんだお前。カースから何にも聞いてないのか?」
呆れたような顔をされて、僕は戸惑いながらも頷く。
「う、うん……」
「はぁ……なんだよ、丸投げか? お前はこれから、俺に犯されるんだよ」
「……?」
「わかんねぇか。まあいい。俺が教えてやるよ。なあ、リンデル」
ゼフィアはゆっくり口の端を持ち上げると、また僕の頭を抱えた。
耳たぶを軽く噛まれて、僕はびくりと肩を震わせてしまう。
耳元でクックッと小さな笑い声、ゼフィアの唇はそのまま首筋を撫でて、僕の肩にちゅっと音を立てて吸い付いた。
「っ……」
いつの間にか、僕の服を結んでいたはずの紐は解かれていて、ゼフィアの大きくてゴツゴツした手が僕のお臍から胸までをゆっくり撫で始める。
「お前、本当に小さいな。これで全部入んのかよ」
「?」
ずるり、と下着を下ろされて、僕は慌てた。
「な、なんで脱がすの?」
「ここに用があるんだよ」
ゼフィアはさらりと答えて、僕のお尻を左右に広げると、中に指を入れてきた。
「あっ」
ぐにぐにと、ゼフィアの太い指が僕の中を裂く。
「んっ……っ」
中指がなんとか奥まで入る。僕は思わず詰めていた息を吐く。
と、もう一本、指が入ってくる。
「キッツイな……」
呟きとともに、ゼフィアの熱い息が首筋にかかって、僕はつられるように背筋が熱くなった。
ぶるり、と身を震わせた僕の顔を、ゼフィアがチラと見る。
僕を見つめる焦げ茶の瞳。
口元はいつも笑っているのに、この人の目はなぜか冷たい感じがする。
「なんだリンデル、泣かないのか?」
「え?」
顔を上げた途端、入り口に指をかけていた三本目が勢いよく突き刺される。
「ぅああっ!」
異物感と圧迫感に、思わず声が漏れる。
入れられたところが酷く熱い。
息が、上がってくる。
「リンデル、顔が赤いぞ。感じてるのか?」
「え、何……」
グイッとゼフィアの指が僕の中で曲げられた。
「あっ。ん……っ」
お腹の下の方がギュッと押されて、体が震える。
ゼフィアは「まさか……」と呟いて目を細めると、そのまま僕の中を掻き回した。
「ふ、あ、あっ、あああっ」
どうしよう、なんだかおかしい。
頭がふわふわして、声が勝手に出てしまう。
意識が、僕の中で動く指の事だけに集中してしまう。
「ぅ、あっ、んっ、あぁあんっ」
「お前、カースの紫の目を見たのか?」
「あっ、う、うん。見た……っああっ」
ぐにぐにと、指を動かしながら質問されて、僕は息を継ぐ合間になんとか答える。
「ふん……自分はあんなに泣き喚いてた癖にな。こいつは同じ目に遭わせたくねえってのか」
カースの、こと、かな……?
不意に、三本の指が僕の中で強引に開かれた。
「ぅあっあっあああああああっ」
微かに考えようとした僕の頭はそれで、真っ白になってしまった。
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