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染まる色*
「リ、リンデル……? まだ、昼前……だぞ?」
「うん、そうだね」
答えるリンデルはにこにこしながら簡易的な肩当てと胸当てを外している。
そのまま上着を脱ぎ捨てると、鍛え上げられ引き締まった筋肉が露わになった。
「なんで脱ぐんだよ……」
カースの溜息に、リンデルがふわりと笑う。
「え、分かんない?」
「……わから、なく、は……」
花のように無邪気な微笑みに、カースは返事に詰まる。
ずるりと下まで脱いで、青年は男に覆い被さる。
「カース……」
こんなに清らかな、天使のような笑みを浮かべているのに、その下半身では既に欲望がそそり立っている。
男がそのギャップに息を飲むと、リンデルはその唇に口付けた。
くちゅっと水音を立てながら、角度を変えて男の中へ何度も侵入する。
「ん……っ、ふ……ぅ、……っ」
男の息が上がってくると、またその浅黒い頬に赤みが差した。
「はぁ……っ」
銀糸を引きつつ口を離したリンデルもまた、白い頬を桜色に染めている。
「カース……、俺と、えっちなこと、しよ?」
ゆるりと金色の瞳を滲ませて、リンデルが囁く。
「…………」
カースは眉を寄せると僅かに目を伏せ、渋々という風ではあったが、頷いた。
「ふふ。いっぱい、気持ちよくしてあげるからねっ」
リンデルが、嬉しそうにカースの服を脱がしにかかる。
「ま、待てリンデル、俺がし……っ、んんっ」
慌てるカースの唇を、リンデルは自身の唇で塞いでそのままベッドへゆっくり押し倒す。
「んっ……」
服の上から胸を撫でると、男がびくりと肩を揺らす。
リンデルはその反応を嬉しく思いながら、そのまま男の耳へと舌を這わせる。
「ぅ……っ、くっ……」
首筋をゆっくり舐めながら、リンデルは囁いた。
「俺、カースの……いっぱい、注いでほしい……から……」
言われて、男は自身の首筋に顔を埋めている青年の頭をそっと撫でる。
「先に、入れてもらってもいい……かな……?」
上目遣いに見上げられ、男は滲んだ瞳で苦笑する。
「ああ、お前の好きにしていい」
「ありがとう。カース、大好きっ」
青年が飛び付くようにして頬に口付ける。
茶色に染められた青年の髪を愛しげにそっと撫でた男が、次の瞬間、びくりと肩を揺らす。
青年は、腕を伸ばして男のそれを撫でていた。
「カースのも、もうガチガチだね」
「誰のせいだと……」
「俺のせいだよね」
男の足元に移動しつつ、カースの言葉に被せてリンデルが弾んだ声で言う。
「ちゃんと俺が、ふにゃふにゃになるまで、してあげるからねっ」
ぞくりと、カースの背を快感ではなく悪寒が襲う。
「リンデル!? 一回で、十分……っ!」
手早くズボンを下ろされると、男の物は青年の少し汗ばんだあたたかな手に包まれ扱かれる。
「ん……ぅ……もう、入れて、も、い……かな……?」
うっとりとそれを眺める青年に、男は焦る。
「いや、まだお前が……」
「俺……、も……だいじょ、ぶ……っ」
良く見れば、青年は片方の手で自身の入り口を広げていた。
「お前……」
男に若干引かれて、青年は誤魔化すように苦笑を浮かべながらも男の物を自身にあてがった。
「入れる、よ……」
言って、男の上へ覆い被さる青年。
つぷ。とあたたかなその中へ入り込む感覚と、続いて肉を割ってゆく感触に、男が思わず眉を寄せる。
「んん……っ、カースの、気持ち、い……、ぁ……っ」
リンデルは頬を朱に染めて、小さく体を震わせた。
「は……、あ……っ、ぅん……、ぜん、ぶ……入っ、た、よ……」
上がる息を整えようとしている青年の髪を、男が愛しげに撫でる。
「ああ、……リンデルの中は、あたたかい、な……」
「ん……っ、カースの、も、熱くて……」
上擦る声で答える青年の中で、男がゆっくりそれを揺らすと、青年がぎゅっとしがみついてきた。
「あっ、ん……っ、ああっ……」
リンデルの甘い声に、男の背筋がぞくりと浮く。
思わず奥を突き上げると、青年が小さく跳ねた。
「ああんっ!」
ぽた。と青年の口元から一雫、男の胸元に落ちたそれを、青年が背を丸めて舐め取る。
申し訳なさそうな仕草に、男は苦笑を浮かべる。
こんなに積極的に迫っておきながら、まだ男に気を遣う。
その青年の強靭な理性を、たまには緩めてやるのもいいだろう。
ぐんっと大きく男に突かれて、青年が甘い声をあげる。
二度、三度と強く突くと仰け反った青年の内側がじわりと吸い付いてくる。
「リンデル……」
優しい眼差しに呼ばれて、青年は男に顔を寄せる。
男はその唇を塞ぐと、片腕で青年の腰を引き寄せる。
「んんっ!」
そのままぐいと奥を突かれて、青年がびくりと跳ねる。
青年の弱い部分を中心に、ぐりぐりと掻き回す。
「んっ、んっ、ぅんんんんっっ」
青年には快感を仰け反って逸らす癖があることを、男は良く分かっていた。
「ぅんんっ、んんっ、んんんんんんっっ」
襲い来る快感を逃せないよう、強く抱き寄せたまま、男は奥へ奥へと突き上げてゆく。
青年の頬が朱く紅く染まってゆくのが、至近距離でよく分かる。
塞がれたままの唇が、青年の呼吸をさらに困難にしていた。
「んんっ、うんんっ、ぅううんんんんっっ」
涙の粒が浮かぶのを見て、男が唇を離してやると、青年の嬌声が寝室に甘く響いた。
「あああっ、あっ、ああんっ、ゃああああんっっ、カースっ、激し……っっ」
可愛らしい啼き声に、男が昂まる。
「ああんっ、きもち、い……、いぃ、よ……ああっ、いいっ、んああああんっ」
リンデルの声に煽られて、男の中心へ熱が集まってゆく。
「も、あっ、だめ……い……っ、イっちゃ、うっ、あっ、イっちゃうううううっっ」
ビクビクと大きく痙攣しながら、青年が仰け反ろうとするのを男がさらに押さえ込む。
ぎゅううううっとナカで締め上げられて、男が眉間に深く皺を寄せる。
「俺、も、イクぞ……っ」
「んっ、きて……っカース……っああっ、俺の、ナカいっぱい、に……あぁあっ」
男が激しく突き上げると、応えるように青年が止めどなく声を上げる。
狭い寝室に青年の快感に喘ぐ声が絶え間なく響く中、二人を支えるベッドは繰り返し揺らされても酷い音を立てることはなかった。
息も継げず、どうしようもなく青年の口元から雫が落ちる。
けれど、男から与えられ続ける快楽を受け止める事で精一杯の青年は、それに気付くことすら出来なかった。
「ふぁ、あっ、あぁあぁああああっっ! おっき、いぃっっ、あああぁぁっっ!」
「くっ!」
一際奥まで突いて男が動きを止めると、青年が涙を零して痙攣した。
「ああああああっっ、ぅぁあぁぁあああっっ、ぅぅう……、んんんっ……っ」
仰け反ることを諦めた青年が、ぎゅっと男にしがみつく。
ビクビクと小さく跳ねる体が、まだ青年が感じている事を伝えていた。
「リンデル……可愛いよ……」
耳元で囁かれて、青年が肩を揺らす。
男は上がった息を整えながら、青年の髪を撫でた。
「ぅぅ……、ふぅ……、ぅうん……っ」
涙の溢れる頬を男の胸に擦り寄せながら、青年は息をすることに必死な様子だった。
男はそんな青年をなるべく刺激しないように、じっとしたままゆっくり髪を撫でる。
青年の髪は、勇者を辞めてから切っていないのか、後ろ髪はギリギリ結べそうな長さにまで伸びていた。
前髪がそこまで伸びていないのを見るに、不精ではないのだろう。
髪型を変えるつもりなのか。
それは、勇者だった頃の見た目を変えなければ日常生活が不便だと言う事なのだろうか。
男の愛した金髪が茶色く染まっているのを、男は正直残念に思っていた。
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