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もう一度*
ロッソの内側でリンデルのものが熱を取り戻し、ロッソがびくりと肩を揺らす。
これは、あの男への想いだ……。
あの男は知っていた。ロッソがリンデルに恋焦がれていた事を。
その上で、いつもロッソを気遣ってくれたし、ロッソを信じてくれていた。
それなのに……。
私は、あの男の信頼を裏切ってしまった……。
ロッソが己の最低ぶりに言葉を失っていると、リンデルが苦笑しながら告げる。
「ロッソ、カースは思い詰めるなって言ってたよね?」
従者が長い後ろ髪を靡かせて顔を上げる。
「今度こそ、俺を愛してくれる?」
甘く尋ねられ、ロッソは驚く。
「まだ……私にチャンスをくださるのですか……」
「カースが許してくれたからね」
そうなのだろうか。
ロッソは男の言葉を反芻する。
乱暴をしたら許さないという言葉は、つまり、乱暴にしなければ許すと捉えて良いのだろうか……?
ロッソが戸惑うような瞳を主人に向けると、リンデルは優しく微笑んだ。
それから、少し困ったような顔をして告げる。
「まだ……足の付け根に感覚が戻らないんだ」
ロッソは慌てた。
それはつまり、この方は今まだ一人で立つこともできないのか。
よく見れば顔色だって芳しくはない。
こんな相手に、自分はなんという事を考えたのか。
「誠心誠意……愛を込めて、ご奉仕させていただきます」
ロッソは自戒し、主人のため尽くすと誓う。
主人への愛は、決して偽りではない。
それを今、正しく注ぐと心を定めてゆるりと腰を動かした。
バチバチと突き刺さる痛みを払うように、抜いてはまた差し入れる。
体ごと、太腿も、足の付け根も、全身で包むように。
私はこの方の正義に心酔している。
正しいと思う事を自分の心で判断し、それを貫く勇気を美しいと思う。
そして、それを力ではなく優しさでもって実行する、その姿をとても尊いと思う。
「ぅ……んぅ……っ」
リンデルの甘い声が漏れて、ロッソの内側が熱を持つ。
この方の力になりたい。
この方を、そばでずっと支えたい。
想いを込めて従者が腰を揺らすと、主人の肩がびくりと跳ねた。
「あぁっ……」
バチバチと貫かれるようだった激しい痛みも、パチパチと弾ける程度になってきた気がする。
「いかが、ですか……?」
「は。あ……っ、ロッソ、気持ち、いい……よ……っ」
うるりと潤んだ金の瞳が、真っ直ぐ縋り付くようにロッソを見つめる。
それだけで、ロッソは心乱れそうになる。
「脚は、動き、ますか……?」
ゆるゆるとした動きを止めないままに、尋ねる。
リンデルは試しに両脚を持ち上げると、そのままロッソの背を足で抱き込んだ。
不意に奥まで貫かれて、ロッソが声を漏らす。
「んっっ」
切なげな声に、リンデルは目を丸くした。
こんな可愛らしい声を、今まで彼から聞いたことがあっただろうか。
正直、薬を盛られていた時のことはあまりよく覚えていない。
ただ彼が何度も相手をしてくれた。
俺が果てるまで、何度も。
その時に、こんな声を自分は耳にしていたんだろうか。
もう一度聞いてみたくて、リンデルは腰を突き上げた。
「ぅあっ」
熱を滲ませた奥を再度犯されて、ロッソが小さな肩を震わせる。
「……ロッソの声、可愛いね……」
どこか愛しげに囁かれて、ロッソが途端に顔を真っ赤に染める。
ああ、そんな顔も可愛いな、とリンデルは思う。
両手を開き、ぐっと閉じる。体の調子を隅々まで確認する。
どうやら十分動けそうだ。
「ロッソ、ありがとう。……もう、大丈夫だよ」
告げると、ロッソは嬉しそうに瞳を輝かせ、と思えばその黒い瞳にしょんぼりと影を落とした。
「それは、良かったです……」
リンデルは内心苦笑しながら、尋ねる。
「ねえ……、ロッソは、俺のが欲しい……?」
金色の青年が、どこか妖艶に微笑む。
ロッソは身体の中心に集まりつつある熱に浮かされて、縋るように頷いた。
「そっか。じゃあ……お礼に注いであげるね」
にこりと微笑むその金色があまりに美しくて、これからこの方にそれをいただけるのだと思うとロッソは全身が震えた。
リンデルは、ロッソの腰を押さえたまま、器用にくるりと上下を入れ替わった。
「ロッソは、痛いところはない?」
「は、はい……」
そっと組み敷かれて、ロッソはドギマギする。
前の勇者はロッソの顔を見たくなかったのかいつも背後からだったし、この主人とは彼の体調が良くない時にしか機会がなく自分が上に乗ったことしかなかった。
着痩せするリンデルの、見た目よりも太い腕に囲まれて。
上からリンデルのしっかりとした体躯が覆い被さってくる。
包まれるような閉じ込められるような感覚に、ロッソは息が詰まった。
「そんなに緊張しなくてもいいよ」
笑い声のような響きで主人に柔らかく気遣われて、ロッソは申し訳なく思う。
緊張、しているのだろうか。私は。
言われてみれば確かに全身に入っていた力を、抜こうとするも、どうしてかうまくいかない。
「楽にして……? 優しく、するからね……」
ロッソは、主人に耳元で囁かれて、びくりと肩を揺らした。
背筋を熱が駆け上がり、ジワリと胸へ広がる。
ゆるゆると腰を揺らしながら、リンデルがその長い指でロッソの前髪を分けると、ゆっくりロッソの額へ口付けた。
「いつも、ありがとう」
少し照れるように、金色の髪を揺らして、青年は日頃の感謝を口にする。
たとえ愛する人へのそれでなくても、今のキスはロッソが初めて、主人から自分にもらったものだった。
「……っっっ!」
嬉しすぎて、ロッソは何も言えなかった。
顔が酷く熱い。きっと耳まで赤く染まっているだろう。
喜びに胸が詰まって、思わず口元を覆う。
じわりと、黒い瞳に涙が滲んだ。
リンデルは、口付けひとつで真っ赤に染まる、そんな従者を可愛らしく思う。
緊張で硬くなっていた内側も程よく解れてきたことを感じて、じわりと奥へ侵入する。
「んんっ……」
口を押さえていたせいでくぐもった声は、カースを思い出させる。
「ロッソは、奥が好き……?」
尋ねられ、ロッソが戸惑うように主人を見上げる。
「それとも、こっち?」
リンデルがぐいとロッソの腰を持ち上げると角度を変えて、手前の浅い部分、ロッソのものへ続くあたりを突いた。
「んぅっ……」
じんと甘く広がる快感に、ロッソが切なく喘ぐ。
今までそんな、自分の体のどこが良いかなんて、聞かれたこともなければ考えたこともなかった。
教えられていたのは男性の悦ばせ方であって、自身が良くなる必要などどこにもなかった。
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