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第5話 生徒指導室へ連行

 景斗と共に学校に艦隊申請を出しに行った後の数日間は、大変だった。  なぜならSランクホロスの景斗がBランクの俺の艦隊に所属したということを隠さなかったからである。  Sランクのホロスを手にした低ランクのパイロット。俺はそういう目で周囲から見られ、好奇の目に晒されていた。  野次馬のように「どんな手を使ったんだ」「お前って、実はすごい奴?」などと聞いてくる奴もいた。  それくらい、ランクの差がある艦隊というのは珍しいのだろう。  担任の岩谷が深刻そうな顔をして俺の席へとやってくる。 「倉海……」 「はい?」 「俺のクラスから指導対象が出るなんて残念だ……。が、一旦生徒指導室だ」 「え!?!?」 「ここ数日、お前がホロスクラスの白薄って奴に無理を働いて艦隊に所属させたと噂になってる。事情は後で聞くから一旦生徒指導室へ連行だ」 「そっそんな!俺、何もしてませんよ!」 「何が事実であろうとそんな噂が職員の方まで届いて、問題になってるのが駄目なんだよ。一旦事情聴取を行って事実確認が取れたという報告は上にしないといけないから、形だけでも付いてきてくれ。すまんな、倉海」 「えええ~……」  がっくりと肩を落としながら岩谷に付いて行く。  生徒指導室に入ると、そこには先約がいた。 「お前ももう3年だろう。Aなんて高ランクの適合者はここを卒業後も軍に所属させられるさだめなんだよ。今の日本じゃそういう風にしか生きられない。いい加減年貢の納め時だぞ」 「っせーな……ホロスなんてなりたくてなったわけじゃねーだろ」 「お前なぁ……」 「お疲れ様でーす」  教師らしき男と、対面に座る制服を着た男。二人の会話に岩谷が割って入った。 「お疲れ様です……岩谷先生」 「どうも。うちも生徒指導室を借りたいんですが、いいですか?」 「勿論です!はあ……御津八(みつばち)、このままじゃ寮には返せんからな」 「チッ……」  御津八(みつばち)と呼ばれた男は舌打ちをすると、パイプ椅子の上で大股を開いてグッと伸びをした。 「先生は一旦コーヒーでも飲んでくるから、今後のことについては一旦指導室で改めて考え直せ。今年一年頑張ればお前のランクじゃ成績だって簡単に上がるんだ。お前の為に言ってるんだぞ」 「るせー……わかってるよ」  おそらく3年の担任である先生はコーヒーを飲みに生徒指導室を出て行った。 「じゃ、倉海、そっちに座ってくれ」 「……ハイ」  俺は岩谷に御津八の隣に座るよう促される。  素直に俺はパイプ椅子を引き、着席した。 「じゃあ……お前が白薄に脅迫だか暴行だかを働いて無理矢理艦隊に所属させたっていう噂だけど……」  いきなりプライバシーも何もなく話し出す岩谷に俺は御津八の目を気にするが、隣からの反応はない。 「それは、誓ってありません。というか、景斗……白薄の方から艦隊に所属したいって志望してくれたんです」 「つってもなぁ……相手、Sランクだろ。Bランクのお前の艦隊に所属したがるわけがわからない、というか前例がそんなにないんだよ」 「それは……」  俺は、景斗の兄の話と、景斗が雪椿に乗るために俺の艦隊の隊員になった事の顛末を話した。 「なるほどな……。お兄さんが……。いや、この学校やスぺクタルの軍じゃそんなのはよくある話だ。片方がSランクってのはなかなか無い話だが、事情は分かった。じゃあ俺は報告書を書いてくる。報告書には倉海のサインも要るから、ちょっと待っててくれるか」 「わかりました」  岩谷が指導室を出て行く。  俺と御津八は二人きりになった部屋で、静寂を保っていた。  話すことも無いし俺としては気まずいわけだが、相手がこちらを気にしている素振りはない。

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