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第6話 Aランク

「おい」 「……」 「おい、オメーだよ」 「は、はい?俺ですか?!」  突然、御津八に話しかけられる。 「お前、BランクでSランクと契約してんのか」 「ま、まあそう……です」 「Sランクの恩恵は受けられたか?」 「恩恵……?いや、今の所、まだ機体に乗っての実習もまだですし……」 「Sランクのホロスからまだ何も教わってもねえってことかよ」 「? えーと……多分?」  御津八がハッと鼻で笑った。  俺はなんだかムッとするが、黙って堪える。 「そうだな……自分より下のランクの奴を選んで好きにできる方が、ホロスにとっても良いに決まってるもんな。賢いぜ、そいつ」 「……?」  俺は、御津八の言っていることがわからず、頭の中がハテナで埋め尽くされる。 「艦隊を結成してるのにホロスと何をするのかも知らされてねえってことは、お前は自分より上のランクのホロスに選ばれて、良いように使われてるだけってことだろ」 「なっ……」  それは、そうかもしれない。  事実、景斗は自分の兄が搭乗していた機体の艦隊に入りたいという理由だけで俺の艦隊に入った。  そして、御津八の言う「ホロスの何か」について俺は景斗から何も教わっていない。  ホロスの恩恵が受けられたかどうか……そんなことを口にしていたが、艦隊を結成してから実習もまだだというのに、恩恵も何もあるものなのだろうか。 「お前、一年か?」 「ええ、まあ……」 「俺は三年、御津八(みつばち)(あわい)。丁度いい。お前の艦隊に俺を入れろ」 「ハイ……って、ええっ!?」 「俺はお前よりも上のAランクだ。補助員として戦闘中の補助はやってやるがホロスとしての活動は俺が決める。それでも十分Bランクなんかじゃ大きく力を伸ばせるだろうよ。俺を、お前の艦隊に入れろ」 「え……Aランク……」  俺は今、一生分の運を使い果たしている最中なんだろうか。  Sランクのホロスだけでなく、Aランクのホロスが俺の艦隊に入りたいと言っている。  何やらホロスとしての活動はどうとか言っているが、戦闘中の補助をしてもらうのがメインとすればその「ホロスの活動」とやらはしてもらわなくても構わないだろう。 「悪いな、待たせた御津八。心は決まったか?」  御津八の担任が指導室に戻ってきた。 「ちょうど今、決まった」 「そうか。……あー良かったー!じゃあAランクのパイロットのリストでも見るか?お前ならどこの艦隊だって喜んで受け入れるだろ。Sランクのパイロットでもお前を欲しいって思う奴はいるだろうし……Sランクのリストも見るか?」 「いい。もう決まった」 「はっ?」 「俺はこいつの艦隊に入る」  ぐいっと肩口を引っ張られ、担任の前に俺が引っ張り出される。 「えっ……と、どういうことだ」  混乱する担任をよそに、御津八は俺に質問を投げかける。 「お前、名前は」 「倉海美駒です」 「艦隊名は」 「ゆ、雪椿……です」 「俺はこいつ……倉海の艦隊『雪椿』に今日から所属する」 「え……えええっ」  御津八の担任の声が指導室に、響き渡った。

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