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第7話 意中の

 あれからというもの、俺は景斗にも御津八先輩にも「ホロスの何か」については何も教わっていない。俺から聞けばいいのかもしれないが、結局スぺクタルの戦闘中に必要な補助と「ホロスの何か」はあまり関係がなさそうだし、戦闘中に補助を受けられるのであればまぁ良いかと、なんとなく聞けずにいる。 「スぺクタルの学校って言っても普通科目の勉強ばっか大変だよなー」 「つっても実習なんて俺怖くて一生来ないで欲しいわ」 「わかる。一生普通科目だけ続いて欲しい。徴兵なんてクソだよな」  クラスメイトの会話を尻目に俺は寮に帰る準備をする。  この学校は徴兵制度で成り立っているせいか、部活動が無い。帰ってゲームでもするかと考えながらノートや教科書をスクールバックにしまう。  さて帰るかと席を立ったところで、教室の出口で最近の名物にエンカウントした。 「あのっ……伊集院君。僕、同じ一年のホロスです。君の艦隊に入れてくださいっ!」 「……ランクはいくつだ」 「あ……び、Bです……でも、戦闘の補助ならSランクの子にも負けません!」 「戦闘中の補助なんざ適当でいい。Bランクだと?話にならない。もう来るな」 「あっ……ま、待って!」 「鬱陶しい」 「うあっ」  うちのクラスのSランクパイロット……伊集院に、ホロスの連中はぞっこんなのである。  他のクラスのSランクパイロットもこの調子なのかは知らないが、伊集院の場合はこんな調子でひっきりなしに伊集院の艦隊に志願するホロスが訪れる。  フラれてもなお腕に縋りつくホロスの男子を伊集院は雑に振りほどき、去って行く。 「って、うわあ!」 「あっ」  ドンッ。  出口にてすれ違おうとしていた俺は、伊集院に突き放されてよろけたホロスとぶつかってしまった。 「す、すみません……」 「っ……」  伊集院に対してはしおらしかったそいつは、俺よりも頭一つ分は背が低いだろう。咄嗟に謝罪を口にした俺とは真逆に、下から大きな目でキッとこちらを睨みつけてきた挙句、「何!?邪魔なんだけど!!」とのたまった。 「いや、邪魔なのは君の方……」 「Sランクでもないパイロットがうろうろしてるのが悪いんでしょ!」 「な……なんつー言い草だよ……」  俺はついムキになってしまい、そいつに向かって暴言を吐いてしまった。 「そんなんだから伊集院に相手されないんじゃないのか。まともな奴なら君みたいなのと組もうとは普通思わないだろうけど」 「なっ……!!」  絶句。という言葉が似合うだろうその顔は、口から声を発そうとして途切れてしまった。 「くっ……!そういう君はランクいくつなわけ?」  精一杯というように、言い返してくる。 「俺?俺は、Bランクのパイロットだけど」 「び、B!!Bランクのくせによくそんなこと……!!」 「いや、君もBランクのホロスなんだよね。さっきの話、教室中に聞こえてたと思うけど」 「……!!」 「確かに、俺達BランクやCランクのパイロットはSランクやAランクに劣るかもしれない。でも君の思ってるほど悪いもんじゃないと思うよ。ましてや、伊集院なんて高ランクのホロスしか艦隊に入れないって決めてるんじゃないかな」 「それは……そうだろうけど、でも……」 「……うん。自分と同じくらいのランクのパイロットと組んでみたら?」  俺は噛みついてくるそいつに対して比較的穏やかに勧めた。  学校に入学して間もなく、まだ普通教科しか習っていない俺達一年だが、そろそろスぺクタルに乗る実習が始まる。  それにはパイロットもホロスも全員参加しなければならず、艦隊に所属していないホロスは焦っているだろうし、艦隊の隊員が少ないパイロットも焦りが出てきても良い頃だ。  この子みたいに強引に意中のパイロットやホロスにアタックする者も少なくはなくなってきていた。

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