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第9話 顔合わせ

 ついにこの日がやってきた。  何って、スぺクタルの搭乗実習である。  実習では少しだが戦闘訓練もするらしい。  俺達一年はまだスぺクタルに搭乗したことがない。  パイロットはヘルメットを通して精神をスぺクタルと繋げるらしいが、実際に機体を起動したことはまだ無いので、どんな感覚なのかは未知数だ。  攻撃を受けても、遠隔操作ロボなので痛くは無いだろう。しかし精神にダメージを受けて酷ければ廃人になってしまうというんだから、恐ろしいものである。 「あ、御津八先輩……先輩も、実習には参加されるんですね」  戦艦に集まったメンツを見て俺がそう零すと、御津八先輩は「当たりめーだろ」と淡々と返事を寄越した。 「実習の予定は学年ごとに違うが、ホロスには通常授業よりも艦隊の実習を優先するようにルールが決められてんだよ。  三年のパイロットの艦隊に一年がいりゃその一年は通常授業ほっぽりだして三年の実習授業に付き合うよう決められてるし、二年でも三年でも同じことだ。  この学校にしろスぺクタルの軍隊にしろパイロット優先だからな。  ホロスはパイロットに付き従うようにって再三言われてんだよ」 「そうだったんですか」  頷く俺に瑞貴が問いかけた。 「パイロット側には、何も知らされてないの?」 「いや、何も……。ホロスのことは、ホロスに教えて貰えとしか言われてない」 「なるほど……そうなんですね。じゃあ、僕たちホロスが頑張って美駒君を支えないといけませんね」  景斗がふふふと笑いながら言う。  戦艦『雪椿』に集まったのは、俺、景斗、御津八先輩、瑞貴の四人だ。隊員数は、他の艦隊と比べても多くも無ければ少なくも無い、平均ってとこだろう。  学校配布の携帯電話が、アナウンスを受信する。  岩谷の声が携帯電話から流れ出す。 『各隊、これより戦闘準備に入れ。今から三時間後に闘技場に自分の機体を入れておくように。基本的な操縦の仕方の訓練から、その後簡単な戦闘訓練まで行う。戦闘訓練では順位が付く。この順位で今後の実習の模擬戦の順位争いをしていくことになるから、せいぜい励めよ。実習開始時にまたアナウンスするから携帯は常に手放すなよ』  ブツッとアナウンスが切れ、携帯が静かになる。 「えっと、戦闘準備……ってことは、戦術を今のうちに練っておくのもアリかな。俺はまずBランクと対戦することになるだろうけど、同じランク帯を出し抜くには、どうしたらいいだろう」 「戦術も大事だが、どうせ最後は地の力比べになるんだ。ホロスの力を当てにするしかねーだろ」  御津八先輩が吐き捨てるように言う。 「Sランク。この二人のどっちかなんだろ」 「えっ……Sランク!?」  瑞貴が驚いたように声を上げる。 「つーことは……Sランクはこっちのガキか」 「白薄景斗と申します」 「Sランクなんて……聞いてないよ!!」  瑞貴が慌てたように景斗の顔を見上げる。 「ちなみにこの人……御津八淡先輩は、Aランクのホロスだよ」  俺の紹介にすかしたように御津八先輩が顎を上げた。 「僕は……僕だけ、Bランクだ……」 「俺もBランクなんだけどね」 「パイロットは黙っててよっ!」 「ハイ……」  ぴしゃりと言い返されて意気消沈する俺に、瑞貴が何かを訴えかけるような目でこちらを見てくる。 「Bランクの僕じゃ力の増強も足りないかもしれないけど……僕、ホロスとして、ちゃんとやるから。ちゃんと混ぜてよね」 「?? おう……」 「僕、周防瑞貴って言います。景斗君、淡先輩、よろしくお願いします」 「よろしくお願いしますね」 「……フン」  鼻を鳴らした御津八先輩が、腕を組んで壁に寄りかかった。

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