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第14話 そろそろだな

 ふ、不安だ……。  御津八先輩は、先輩とはいえ艦隊への所属経験がない。ということはオペレーターとしての熟練度も俺達一年とそう変わらないだろう。 「そ、そういえば……」 「なんだ」 「俺達の搭乗する『雪椿』は……修理してるときに、整備士のおっちゃんたちが“色付けてる”って、言ってました。多分本来の雪椿の性能以外に、他の機能が付け足されてるんじゃないかと……」 「んなの真に受けてたら他の機体も予備性能だらけだろうが」 「で、ですよねー……」  俺は戦艦に来た初日から見つけていた『雪椿』の仕様書を改めて読み込む。 「ちなみにこの機体は飛行型か?」 「いいえ。SランクやAランクが飛行型なので、空から攻撃を受けたら避けないと簡単にやられます」 「攻撃方法は」 「追撃型のミサイルと大砲型のキャノンです。あとは機体のフチがソードになってるからぶつかり合いになったら有利ってくらいですかね。避けるのと当てるのは俺の操作次第ってとこです」 「装備面でも高ランク帯には敵わねぇ。高ランクの機体が3、4回攻撃を受けれるところを雪椿じゃ一発アウトだ。攻撃するより避けることを優先しろ」 「わかりました」 「あとはカウンターだ。相手が一番でかい攻撃をしてきたときにスカしてこっちから全攻撃ぶっぱできれば一番なんだが」 「追撃爆弾も大砲も球数に限りがあるんでそんなに一気に攻撃はできないです」 「常時攻撃できるよう球数コントロールが必要ってことか」 「はい」 「わかった。それは俺がやる。お前は操作だけ集中してろ」 「ありがとうございます……何から何まで考えて貰っちゃって」 「お前らがセックスしてる間ただ突っ立ってたわけじゃねえんだよ」  セックスと言われると生々しいが、まあ事実なので言い返せない。  こんなところで童貞喪失するとは思ってもいなかったが、ホロスの仕事は戦闘中の補助だけだと思っていたら、戦闘前に力を増強するなんてこともできるというのだからびっくりだ。 「ちなみに戦闘訓練が終わった後もパイロットの壊れた精神を癒すのはホロスの役目だ。俺は参加しねーからあの二人とまたよろしくやっとけ」 「そ、そうなんですか」  初耳である。  実習といえば戦闘が本番だというのに、その前後にセックスが二回も挟まってるんじゃ本番が三回あるのと変わらない。 「そろそろだな」  御津八先輩が時計を見ながら呟く。  俺は操縦席へと座り、機体と精神を繋ぐヘルメットを装着した。  壁一面のモニターに機体『雪椿』の全方位を映すカメラの映像が各方位ごとに表示される。  雪椿が収容されている倉庫のシャッターを遠隔で開ける。  マップを見ながら御津八先輩が闘技場への道のりを案内してくれる。  ハンドルを操作して、雪椿を闘技場へと進めるが、他のパイロットたちも同じくらいの時間に動いているためか、他の機体と鉢合わせる。共に闘技場へ向かうと、そこにはずらりと戦闘機“スぺクタル”が並んでいた。

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