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第20話 除隊
ビターン!!
フルパワーでビンタをくらった俺は、ベッドへと倒れ込んだ。
「……何?!」
ベッドへの衝撃でもぞもぞと起き出してきた瑞貴が目をこすりながらこちらを見る。
「う、ううん……」
景斗も起きたようで、眠そうな目でぼんやりと頭を振った。
「み、御津八先輩……」
「テメー……絶対殺す」
俺は拳を握り締めて馬乗りになってきた先輩の両腕をせめてもの抵抗に握りしめる。
俺は、気絶から目覚めた御津八先輩に殺されそうになっていた。
「はなせや……!!」
「はなしたら殴りますよね!?」
「たりめーだろ!!」
「えッ何……何で急に喧嘩!?っていうか、そうだ、実習……実習は!?」
瑞貴が必死の攻防を繰り広げる俺と先輩に近付いて質問する。
「実習は……終わった」
そんな瑞貴をじっと睨みながら先輩が答える。
「オワッタ!?」
「テメーらが寝てる間に全部終わったんだよ」
「えっ!?そんな……!!僕の、ホロスとしての一回目の……!!」
「んなこたどうでもいいんだよ。俺はこいつを殴らねーと気がすまねんだよ」
「え、なんで!?」
「……実習が終わった後、美駒君をケアしてくださったのは淡先輩ですか?」
景斗が場に似合わない柔らかな声で質問する。
「っ……」
ぴたりと止まった御津八先輩に、「そうなんですね。良かった」と景斗が笑う。
「なんだ、そうだったんですね。僕ら寝ちゃってたってことは……淡先輩がいてよかった~」
能天気にヨカッタヨカッタと笑う瑞貴に、先輩の眉間の皺がぐぐっと増えていく。
「っもういい。殴らねえから、放せ」
「御津八先輩……」
力なく俺の腕を振りほどいた先輩は、出口に向かって歩いて行く。
「えっ。どこ行くんですか」
「申請所だよ。艦隊の除隊手続きしてこんな隊抜けるに決まってんだろうが」
「ちょっちょっ……ちょっと待ってください!!今先輩に抜けられると俺、非常に困ると言いますか!!」
「知るか。死ね」
ゴミを見るような目で見てくる先輩に俺は顔を引き攣らせるしかない。
「俺……先輩のおかげで、模擬戦に勝てました。実習の後の……セックスも、あのおかげで実習ですり減ってたモンが回復したっていうか……元通り、元気になりました。先輩のおかげです。このままお別れなんて、嫌ですよ」
「全部お前にしかメリットねーだろうが。俺は、こんなことこれからも続けるなんてありえねー。やっぱホロスなんてロクなもんじゃねーよ」
「……」
言葉を失う俺。
と、「えーっ!!」と声を上げたのは瑞貴だ。
「淡先輩、辞めちゃうんですか!?せっかく同じ隊になったのに!!僕、寂しいですよ!!」
「俺はお前らと仲良しごっこするつもりもねーんだよ」
バッサリと切り捨てる先輩。
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