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第22話 女子と三つ子

 Bランクである俺がAランクの奴らを抑えて模擬戦に勝ったという話は、その後にSランクの伊集院にボコされたという事実は抜きにして噂になっているようだった。  それだけランクの差を覆して勝つというのは珍しいことであるらしかった。  俺は昼休みに学食を食べに食堂へ来ていた。 「あっ……美駒!」 「瑞貴」  トレーに全ての飯をのせ終わって席を探していると、偶然、おそらく友人であろう男たちと共に食堂にいた瑞貴に出くわす。 「ねえ、瑞貴。彼がAランクに勝ったっていう……?」 「噂のパイロット君だ!」 「いいな~瑞貴は。強いパイロットと組めて、羨まし~」 「ま……まあね。僕、ちょっと行ってくる」 「行ってらっしゃい~」  友人たちから離れた瑞貴が俺の側へやってくる。 「友達と食べなくて良いのか?」 「良いに決まってるじゃん。それより美駒は、他の子と一緒に食べないの?」 「まあな」 「ひょっとして友達……いないの?」 「……」 「……」  鋭いところを突いてくる瑞貴に黙っていると、ドン引いた様子で憐みの目を向けられた。  よせ。憐れまれると余計に俺が可哀想みたいだろうが。 「まあいいや。じゃあ今日は僕が一緒にご飯食べてあげる」  そう言って瑞貴が俺の隣に座る。 「……ホロスのクラスにも、実習の結果って知れ渡ってるんだな」  そう聞いた俺に、瑞貴は何ともないことのように頷く。 「当たり前じゃん?……ま、僕は寝ちゃってたから詳しいことは分からないし美駒のこと聞かれたってはぐらかすしかないんだけどさ」 「それは……お前、初めてだったろうに俺がホロスの力を吸収しすぎたから……仕方ないだろ」 「……それにしたって不思議だよね。美駒とちょっと触れ合ったからって、Bランクの僕だけじゃなくSランクの景斗君までぐっすり寝ちゃうほど美駒がホロスの力を受け取れるなんて……」  確かにそうだ。  俺は淡先輩にそれを指摘されて気付いたわけだが、そのことに関しては謎である。  俺って、もしかしてSランク並みに凄い奴だったとか?  いや、それはないか。そう考えたところで、急に正面から甘い声が俺に声をかけた。 「倉海さん、ですよねっ」 「えっ?」  前を見ると、同じテーブルの正面に数人がやってきた。  女子、である。  いや、正確には……同じクラスの紅一点と、知らない男3人だ。  しかもよく見ると、男たちは3人皆同じ顔をしている。 「こんにちはっ!あたし、同じクラスのパイロット、日高(ひだか)まひるっていいます!」  ……そうだ。  うちのクラスのAランクの女子、日高さんだ。  周りの男たちは…… 「俺達は、2年。ホロスの綾野だ。俺は綾野(あやの)(はじめ)」  三人の中で唯一眼鏡をしている男が、名乗る。 「俺は……綾野、双葉(ふたば)……」 「俺は、綾野三月(みつき)ってんだ!倉海クンだっけ?Bランクの!」  続いて、おっとりとした口調の男と、はつらつとした雰囲気の男が名乗った。 「この人たちは、三つ子で、あたしの艦隊で隊員をしてくれてるんですっ」  同じ顔をした男たちは、日高さんを囲うように着席する。  日高さんは男たちのことを俺に紹介した。  三つ子。どうりで同じ顔のはずである。 「……倉海美駒です。よろしくお願いします」 「ぼ、僕は美駒の艦隊の隊員で……周防瑞貴っていいます」  俺に続いて瑞貴が挨拶すると、日高さんは太陽のように明るい笑顔でにこっと微笑んだ。

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