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第26話 内部の

 警察の管轄を越えた犯罪というのがどんなものなのかはわからないが、警察にとって手に負えない程の犯罪を相手にするというのだから大変なことだろう。  そして、スぺクタルを違法に奪取しようとする犯罪者がいるということも、聞いたことはあるが本当にそんな事態が存在するとは思っていなかった、というのが正直な感想だった。  現在日本では、軍と日本三大都市に構えられた養成所――スぺクタル搭乗者育成機関養成学校でしかスぺクタルの所持は認められていない。  それを武器マニアであったり、犯罪に使う兵力欲しさに狙う連中がいて、そいつらを取り締まるのが軍だけでなく、俺たち養成所のパイロットの役目ということだろう。 「あとは――内部の人間が裏切った時の、沈静化などですね」  景斗が静かに、呟いた。 「内部の……人間が?」  聞き返した俺に、景斗は頷く。 「これは……外部には広まっていない、ある一件に関与した生徒の親族のみに教えられた話ですが……」  そうして景斗は、話し出した。 「僕の兄は、二つ上の代……淡先輩の、同級生でした。今の三年生の、Sランクのパイロットに……スぺクタルを私物化して、持ち出そうとした生徒がいたようです。おそらく中学の頃からの繋がりで……学校外の犯罪組織と繋がっていた彼は、組織にSランクのスぺクタルを持ち出そうと勝手を働いた。それを抑えるために学校のパイロットは総動員で彼と戦い――Cランクのパイロットだった兄は、Sランクのパイロットであったその生徒との交戦でやられ、精神破壊されて廃人同然になってしまいました。幸いそのSランクのパイロットは捕まって、今は少年院に収監されているようですが……」 「……!」  息をのむ俺と瑞貴に、景斗は柔らかく笑った。 「SランクやAランクのパイロットとホロスは、基本的には軍に所属することが義務付けられていて、犯罪に走ることが無いよう管理されています。それでも、そうやって内部で暴走してしまう輩も稀に居て……それが高ランクのパイロットであったり、なんて場合には、内部の被害も甚大です。しかし、そういう時に僕たちも戦わなければならないと、そういうことになっているんです。だから、そういう場合に備えてパイロットはいつでも出撃できるように、ホロスからの力が自身の中から尽きないよう、床を共にする機会も管理しているんです」 「そうだったのか……。それで、二人はこんなにずっと俺と一緒にいてくれてたって、わけだな」 「そうだよ」 「はい」  初知り情報が満載で、景斗の過去についてもこんなに深く触れたのも初めてで、俺の頭はなんだかごちゃごちゃしている。だがそうなると考えなければいけないことがいくつか見えてきたような気も、する。  現状の俺は、二人からホロスのパイロットに与える力を満タンになるまで受け取って、そうして実習の模擬戦に挑むのが常だった。  しかし、突然の出撃要請に対応するとなると……。 「俺って、セックス下手なのかな」  思わず口を突いて出た言葉に、瑞貴がブフォッと噴き出した。景斗はきょとんとした様子で、こちらを見ている。 「いきなり何言いだすんだよ。今の話聞いて出てくる言葉がそれって……」 「いや、そうじゃなくてさ」  俺は慌てて否定する。 「いつも瑞貴も景斗も、俺に力を渡しすぎて寝たり、気絶したりしちゃうだろ。それって、俺が受け取る力の量をコントロールできてないからかなって思ったんだよ」 「……たしかに、それはそうかもしれないですね……」  ふむ、と景斗が顎に指をあてる。 「それにさ、いつも戦闘に参加してるのは淡先輩一人だろ。もし今みたいに二人が戦闘に参加できないなら、もっと隊員を増やして、戦闘に参加できる人数を増やした方が良いんじゃないかとも思ってさ」 「まあ、それもそうだね。それに、僕か景斗くんが戦闘前のセックスを、増やした隊員に代わってもらって戦闘に参加することもできるよね」 「あとは……急な出撃に備えて定期的にセックスした方が良いってことは、お前ら二人が俺に力を受け渡して寝ちゃってても良い時間に、ヤッといた方が良いってことだろ。……うーん、考えることが多すぎて何が何だか……」 「……ていうか、美駒の僕たちの力を無尽蔵に受け入れきれちゃう体質はなんなわけ?」 「それについても、よくわからないんだよなぁ……」 「……美駒の、ポンコツ!!」 「まあ、まあ……」  瑞貴の暴言を、景斗が宥める。  しかし、考えなければならないことが多いのは事実で、この全ての問題を俺は、片付けなければならないだろう。

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