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第6話
目を開けるとすでに明るくなっていた…カーテン越しに差す日の光が僕を優しく包み込んでいる…暖かい
人の温もりを忘れた僕の体は脳は嬉しそうに脈打っている…あの人もこの気持ちになってるのだろうか
きっと寂しいだろうな…僕にはよくわからないけれどあの青年の執事をやめてから満たされてないのだから
僕がずっと断ってきたから…かわいそうだ…かわいそう?なんで僕同情しているんだろう…一回りも年上の男性が男の温もりに満たされていないのを僕なんかが分かるはずもないのに
もしも僕が心を決めたらあの人は喜んでくれるだろうか…でもあの人のためだけに失うものが大きすぎる
そうだ!
僕は意を決して彼を探した
トイレや茶の間にキッチンまで狭い家のなかをまるで迷路に入ったかというぐらい隅々まで探して回った…でもあの人の姿はなかった
ショックで出ていったのだろうか…嫌な予感ばかりが先走りして僕を玄関まで運ぶ足
戸を開けると両手に袋を持った彼の姿が
目を丸くして立ち尽くしている
「主…どうされたので?」
剃り残しの口を近づけてくる…心臓が鳴っているのに気付いた
僕は男なのに…なんで…
それに気付いたのか彼は扉を足で押さえたまま僕と一緒になかに戻っていった
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