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第3話

いつもはクラブから戻った後に数時間仮眠をとり、一応授業に出席する。真面目に学校に通う気はないが留年するわけにもいかないのでギリギリの出席日数で塔矢は登校していた。試験も受けるし授業も適当にしか受けていないが霧矢は成績に問題なかった。 昨日は霧矢にとって様々なことがあり、それが脳裏にこびりついて一睡もできていなかった。 (流石にねみぃ、今日はクラブに行かねーで寝るか) ぼんやりと考えながら霧矢は食堂へ向かった。山奥にある学園なので、立派な食堂が完備されている。一応寮の自室には簡易的なキッチンも備えてあるし、スーパーやコンビニも存在する。だが自炊をする学生はほとんどいなかった。 (ま、楽に飯が食えるってなったら誰も作りはしないわな) 霧矢もその一人で、自炊などしようという発想すらなかった。食事の時間になると食堂へ行き、食事をする。コンビニで買って部屋で食べることはあっても、自炊をすることはしなかった。 今日は睡眠不足なことからほとんど食欲もなかったが、何も胃に入れない方がよくないだろうと思い食堂へ向かって行った。 (スープとか、スムージー的なものなら入るかもな) とりあえず簡単に栄養になりそうなものをなどと思いながら、席に備え付けてあるタッチパネルでメニューを眺める。 金持ちの学校だけあって、食堂の各テーブルにはタッチパネルが置いてある。食券を買って注文するのではなく、タッチパネルで注文をするのだ。 お金は学生証がカードキー代わりになっていて、部屋の鍵やその他代金の支払いの際に使用する。学費を支払う際に学園内で使用した金額も同時に請求されるシステムだ。霧矢の家も裕福な家庭なので、霧矢は学内で好きに食事をしたし買い物もした。 どれだけ使っても父がそれを咎めることはなかった。悪さをしても、金遣いが荒くても、父が霧矢を気にかけることはなかった。 父の気を引けるかと思い、無駄にお金を使ってみようかとも考えたが、学園の行事だけでなく霧矢の病気の時ですら気にかけたことのなかった父だ、無駄だろうと思い実行しなかった。 そのため霧矢は必要以上に無駄遣いをすることはしなかった。必要最低限のものを買い、それ以上買おうとはしなかった。 というより興味がなかった。様々なものに対して霧矢は興味や執着をすることがなかったのだ。それは恐らく彼に愛を教えてくれた唯一の存在である母を失ってからのことだった。母を失ったことにより霧矢は色々なものに興味を失っていった。

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