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第13話
「それに、君は友達にだって愛されてるし」
「え?」
「今日来ていた友達、あれはみんな霧矢のことを好いてる子達だろう?」
塔矢に言われハッとする、彼らはいつも霧矢に優しくしてくれた。霧矢の家が金持ちなことも知らずに、ただの"霧矢"に接してくれた仲間だ。
だからこそ霧矢はクラブに居場所があるのかも、と通い詰めていたのだ。
「霧矢のことを心配して、ここまで来てくれたんだろう?いい子達じゃないか、霧矢は素敵な人間に囲まれているよ。霧矢がそれに気が付いてないだけだよ」
優しく言う塔矢に返事をしたかったが、それは嗚咽となり声にならなかった。ずっとずっと欲しかったものを、求めていたものを、霧矢はすでに持っていたのだ。
霧矢は気付かないふりをしていたのかもしれない。それを認めると、自分がわからなくなりそうだったからだ。
「これからはその"愛"を、大事にしていこうよ?」
「っ……、うっ、……うん!」
「ひとまず、俺の愛を受け取ってくれる?」
「俺で、俺でいいのか?」
泣き濡れた瞳で塔矢に問う、塔矢は心底愛おしいと言う表情をして言った。
「他の誰でもない、霧矢がいいんだよ。霧矢だからいいんだ」
「俺も、塔矢がいい、塔矢に愛されて必要とされたい。塔矢がいらないって言うまでそばにいたい。塔矢が……、好きだから」
「っ!一生大事にする!霧矢だけを愛するって誓う!」
「簡単に一生とか言ってんじゃねーよ」
「少しは信じてよ!?」
「うるさい」
さっきまでのデレが嘘だったかのようにツンケンする霧矢だったが、塔矢にとってはそんな霧矢すら愛おしかった。というより、塔矢にとってはどんな霧矢も愛おしいのだ。霧矢の全てを愛おしいと思っているからだ。
「ね、霧矢、キスしてもいい?」
「は!?」
それは霧矢を少しからかってやろうという塔矢の悪戯心によるものだった。予想通り霧矢は動揺し、顔を真っ赤にした。
(思った通り可愛い反応する、色んなことやって遊んでた割には反応が初心なんだよな)
と塔矢は内心ニヤついていた。
「……好きにしろよ」
顔を赤くし、顔を逸らしているものの目線は塔矢に向けながら霧矢は言った。その瞬間、塔矢の中で何かがズクリと疼いた。
「好きにするね」
そう言うや否や、塔矢は霧矢の顎に手をかけて口付ける。霧矢は唇を固く閉じていたので、塔矢は舌先で霧矢の唇を舐めた。
驚いた霧矢は口を開け、塔矢はその隙に霧矢の口に舌を捩じ込んだ。歯列をなぞり霧矢の口腔を蹂躙する。開かれた霧矢の口から吐息が漏れる。
「んっ……ふっ……、ぁ……」
小さく漏れる吐息に塔矢は酷く興奮していた。キスをしながら霧矢をソファーに押し倒し、シャツの中に手を入れ小さな胸の頂きに触れる。
あっ!と可愛らしい声をあげた霧矢だったが、途端に抵抗し始めた。
「おっと、どうしたんだい?」
「どうしたじゃねーだろ、俺がこっちなわけねーだろ!」
上気した顔で、目を潤ませながら言うセリフではない、と塔矢は思いながらも霧矢に受け身をさせようと説得する。
「どうして?可愛いのは霧矢の方なんだから、霧矢が受け身でもいいんじゃないの?それに今の反応見てたら素質あると思うよ」
「そんなの知るか、俺のが経験豊富なんだからお前に優しく出来る」
そう言われ塔矢は少しだけムッとした。なぜ俺は過去に抱いてきたどうでもいい存在と同列に扱われなければならないのだろうか、と。
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