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カズヤ(攻)♡ ヨウコウ(受)を見せつけられる岡本

 あの夜の悪趣味なゲームは、カランと鳴ったドアベルと常連客の来店によって、拍子抜けするほど呆気なくお開きになった。  それから数日後。  カズヤのスマホが鳴った。画面には岡本の名前が表示されている。 『……最近、全然来てくんないじゃん』  電話越しの声には、かつての大人の余裕は微塵もなかった。焦燥と、隠しきれない依存の熱が滲んでいる。 「前に言っただろ。ゲームの相手なら、ヨウコウにしてもらえばいいじゃん」 『……そんな意地悪言うなよ。わかってるんだろ?』  カズヤは冷たく口角を上げた。 「じゃあ、たまにはそっちが遊びに来るっていうのはどう? うちに」 『え……』 「場所は後でメッセージするから。鍵は開けとくよ。……勝手に入ってきなよ。開ける勇気があるならね」  カズヤは一方的に通話を切った。 ◇  その日の夜。1DKの狭い部屋。  カズヤはベッドではなく、玄関の冷たい三和土(たたき)にヨウコウを押し倒していた。 「……っ、なんで、どうして鍵閉めないの!?」  ヨウコウが怯えたような声を上げる。すぐ横には、外と繋がる薄い鉄のドアがある。  カズヤはヨウコウの首筋に顔を埋め、意地悪く囁いた。 「誰か来るかもしれないって……そういうスリルがあった方が燃えるだろ?」 「……っ、」  抵抗しようとするヨウコウの体は、しかしカズヤの強引な熱に抗いきれず、次第に甘い息を漏らし始める。 「どうして今日はそんなに何度もしてくれるの……?」  ヨウコウが掠れた声で縋るように問う。 「もう、嬉しいけど……体が悲鳴あげてる」  カズヤは冷ややかな瞳のまま、ヨウコウの乱れた髪を撫でた。 「お前、いくつだっけ? 年の数だけするって言うよな。あれ、試してみようぜ」 「え……」 「お前の年の数まで、あといくつだっけ? 結構あるよな」  その言葉が響いた直後だった。  ガチャリ、と。  無施錠のドアノブが回り、重い鉄の扉がゆっくりと開いた。  隙間から差し込んだ外の光が、玄関で激しく絡み合う二人の姿を無残に照らし出す。  ドアの向こうに立っていたのは、住所を頼りにやってきた岡本だった。  岡本の顔から、一瞬にして血の気が引くのが分かった。大人の余裕も、駆け引きも、すべてが打ち砕かれた顔。  カズヤと視線がぶつかった次の瞬間、岡本は弾かれたようにドアから手を離した。  バタンッ!  激しい音を立ててドアが閉まり、遠ざかっていく足音が夜の廊下に響く。  カズヤは迷うことなく、腕の中で熱に浮かされているヨウコウを冷たい床に放り出した。  ヨウコウの「え……?」という戸惑う声を背中で聞き流し、ドアを開けて夜の闇へと飛び出す。 ◇  角を曲がった先の薄暗い路上で、カズヤは逃げる背中に追いつき、その腕を強引に掴んで引き留めた。 「……っ、離せ!」  息を切らし、パニックに陥った岡本が叫ぶ。  カズヤはその無様な姿を見下ろし、底知れない冷たさを宿した瞳で微笑んだ。 「意外に純情なんだな」 「……っ、お前……」  カズヤは掴んだ腕をさらに強く引き寄せ、震える岡本の耳元で低く囁いた。 「あんた散々昔、うちらのこと押し入れに隠して見せつけてたじゃん」  岡本の息が止まる。  あの夜、押し入れの暗闇の中でカズヤがどれほどの絶望と屈辱を味わったか。 「お返しのつもりなんだけどな」  カズヤは悪魔のように目を細めた。 「……お気に召さなかったかな?」  恐怖と屈辱で何も言い返せない岡本は、自分が完全にカズヤの盤上で弄ばれ、壊されたことを悟った。  冷たい夜風の中、カズヤの乾いた笑い声だけが静かに響き渡っていた。 (了)

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