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2話 春になるころ、動画の数は

 帰省を終えお互いが住んでいる場所に戻り、鹿内からオナニー動画が送られ始めてから数ヶ月。季節はもうすっかり春だ。  鹿内から送られてくる動画の内容のほとんどは似たような画角と内容だ。僕に見ているかの確認の言葉を言ってから、自らの立派なちんぽを見せつけて射精――それが一連の流れ。  たまにマンネリ防止だと言って少し違う内容も送ってきている。射精までの流れ自体は変わらないが、射精に至るまでの行程が少し違っているのだ。  たとえば、オナホを使ったオナニー。狭い筒の中に鹿内のちんぽが押し入っていくのを見て、本物のセックスもこんな感じなんだろうかと想像してしまった。 『オタクくん……っ、んっ♡ 俺のチンポが出たり挿入ったりするの、見えてる……っ?』  鹿内の言葉通り、肉棒がオナホの中を出入りしていく。中は見えないけれど、スマホに内蔵されたマイクが拾うぬちゅぬちゅという音がすごく淫らだった。  別の日に送られてきたのは、据置型の二穴タイプのオナホを使った動画。おまんことアナル両方に挿入し違いを実況してくれたため、その動画はほかのものより再生時間が長くなっている。両方の穴に挿入っていくちんぽもいやらしいけど、お尻の形をした部分を掴む手の力強さがたまらなくエロかった。  それから、鹿内がスマホでエロ動画を見ながら扱く映像が送られることもあった。これは手で扱くだけの動画の次に多い。カメラにスマホの映像も映るようにしてあって、それを見ながら彼がオナるという内容だ。スマホに映るのは同じようでいて少しずつ違う内容のオナニー動画。 『オタクくん、この画面見えてる? はぁ……えっろいよね。こんなにおっきいの咥えて……、ふぅ……っ♡』  ワイヤレスイヤホンが接続されているため、鹿内が流している動画の音声は彼にしか聞こえていない。しかし、カメラを通しているため荒くなっていても画面の中の人物が気持ちよさそうなのがわかる。小さな画面の中でその人は、毎回大きめのディルドやバイブなどを咥えこんでおまんこをビクビクと痙攣させイっていた。  エロ動画を見ながらシコっている鹿内の表情は、いつも以上に興奮して楽しそうだ。画面の中の人が絶頂する瞬間に一緒に射精する彼は、ほかの動画とは比べものにならないくらい満足そうな表情をしている。だけどその後すぐに鹿内の瞳には物足りなさと寂しさが浮かんでいて、僕もつられて切なくなってしまうことが結構あった。  そんな感じで鹿内から送られてくるオナニー動画はもう何十本めだろうかというころ。風呂上がりにベッドに転がりスマホを見ていると、トークアプリの通知が届く。  動画が届いたことを知らせる内容で、僕はすぐにトーク画面を開いた。この時間に送ってくる相手は1人しかいないので、イヤホンをつけて再生ボタンを押す。 『やっほー、オタクくん見てるー?』  冒頭の言葉はいつもほとんど同じ。まんまネットミームを真似たらしい。なぜなのか理由を問えば、SNSで回ってきたときに僕のことを思い出したからと返信がきた。そんなオタクネタが回ってくるなんて、SNS上でも彼の交友関係は広いようだ。 『しっかり、最後まで見ててね、オタクくん……っ♡』  動画の中の鹿内に言われ、僕は逸れていた意識をスマホ画面に集中させる。画面の中では彼はもう下着まで脱ぎ捨てていた。今日も立派なちんぽをカメラに見せつけるように映し、ローション濡れの手が竿を擦り上げ淫猥な音を奏でる。  今回は道具もなく手のみで扱く映像が流れ、鹿内のちんぽはそろそろ絶頂を迎えそうだ。 『オタクくん、出すね……っ! 見てて、オタクくん、ハァ……ッ♡ オタクくん、オタクくん……、……っ!』  何度も僕を呼ぶ声。最後はかすれて音になっていなかったが、動いた口の形でなんと言ったかわかってしまった。僕は自分の心臓の鼓動が早くなるのを感じる。  射精を終えた鹿内は、まっすぐに画面の向こうの僕を見つめた。いつもなら締めの言葉を言って終わるはずだが、いつもより動画の残り時間が長い。 『オタクくん、見てくれてた? この動画で100本目なの、気づいてたかな。それで、記念とか狙ってたわけじゃないんだけど、実はね……俺、本社に戻ることになったんだ』  鹿内が紡ぐ言葉に、さらに胸が高鳴る。彼が勤めている会社の本社は、僕が今住んでいる東京だ。 『引っ越しが終わったら……もう、いいよね? 返信、待ってるね……会いたいよ、オタクくん』  動画の再生が終了しても、僕はしばらく呆然としたまま画面を見つめていた。鹿内の言葉を完全に飲み込むころ、自分の頬や耳が火が出そうなほど熱くなっていることに気づく。  あまり待たせると拒否したと思われるかもと気づき、僕は急いで返信をするべく準備をした。  準備を終えた僕は、いつものように服を脱ぎスマホのカメラをインカメラに設定し、撮影を開始する。 「鹿内、見てる……っ?」  いつものようにローションを手に垂らし、カメラにしっかり映るようにベッドの上で開脚する。動かないように固定したスマホには、僕の恥ずかしいところがすべて映っていた。  濡れた指を後孔に這わせると、いつも以上に物欲しげにヒクつく。両手の中指でくぱ、と割り開けば、きゅうきゅうと収縮するナカが画面に映っている。 「僕も、っ♡ 鹿内に、会いたい……っ♡ 寂しくてヒクヒクしてる僕のおまんこ、鹿内のちんぽで埋めて……、本物ちんぽで、いっぱい、いっぱいハメハメして……っ♡」  いつも以上に熱くうねるナカに指を入れ、マイクに音が乗るようにぐちゅぐちゅとかき混ぜる。早く鹿内の長い指や、立派なちんぽを迎え入れたくてたまらない。 「鹿内っ♡ んっ♡ 好きっ♡ もうガマンしなくていいからなっ♡ 鹿内が僕のこと好きなの、ちゃんとわかったから、ぁっ♡ 僕も、好きで好きでガマンできない、ふ、ぅぅっ♡ 引っ越し終わったら、好きなだけ、シていいよ……っ♡」  画面の中の僕は今までで一番とろけた顔をして、幸せそうに笑っていた。

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