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第25話 両想いと価値観

「殿下。ノアとは清いお付き合いを願います。くれぐれも、清いお付き合いを」 「ノアくん、何かあったらすぐに父様達の所においで」 「……わかってます、わかってるから。父様、恥ずかしいからあまり色々言わないで…」 「「息子が可愛すぎる…!」」 ただの捻挫だから大丈夫、と立って父様達を見送ろうとしたらこれだ。 両サイドから俺を抱き締める父様達に恥ずかしいやら嬉しいやら…これでも俺、18歳なんだけど 「…あ。それから、改めてごめんなさい。学校も中退して…」 「してないぞ。休学にしてある…が、安全が確認されるまでは通わせられないな」 「辞めたかったらそれでもいいんだよノアくん、沢山怖い思いしたし…」 中退になっていなかった事に驚いたけど、いつまでも離れようとしない父様達にリオネルが痺れを切らして引き離したので反応が出来なかった。 上を向くとリオネルの不機嫌な顔が俺を見ている。 「ノアは元々成績優秀者だろう。通わなくてもテストだけで卒業資格もとれる」 「…確かに、俺ずっと提出物だけで学歴維持してたんだった」 「ノアくん?それ僕達は初耳なんだけど」 「あっ、やば」 製薬も研究もいいけど、少しは社交も頑張ろうねと送り出された事を思い出して俺は焦った。 家でも研究ばかりしていて、もっと外で遊ぶようにと言われれば、あちこち歩いて薬草探しをするような人間なんだ俺は。 「学校に入ったらお友達を作りなさいと父様達は言ったな、ノア」 「………恋人、できたし」 「「そこまでしなさいとは言ってない!!」」 帰ったらお説教だからと二人に叱られて、謝ったり心配されたりしながらも最後は笑顔で見送れた。 久しぶりに会った父様達は、ずっと俺を探したりしててやつれていたのが心を重くして…でもやっぱり大好きだと再会した事を素直に喜べた。 「一緒に帰らなくて良かったのか?」 「ん…リオネル、牢屋ってどこにある?」 「………駄目だ。」 リオネルは、俺が話した物語の世界というのを真剣に聞き入れた。 物語の強制力というのには特に思い当たる所があると納得して、ルリがこの世界においての主人公で、俺はルリのハーレムを完成させる為の悪役になった事もすんなりと信じた。 「ノアは二度と接触しない方がいい。強制力で何をされるかわかったものじゃない」 「このままだとルリは…二度と会えないんだろ?」 「それだけの大罪を犯したんだ」 俺が死んでないから処刑は無いと思いたいけど…一生監視されながら働くか、監獄送りか…何故かこの世界、孤島に監獄あるんだよな ヒョイ、と持ち上げられて車椅子に戻される。どうやっても俺の話は聞く気がないらしい。 まぁ、反対されるとは思ってた。 「他の男達を俺は認識してないから、そこは末路がどうなろうと俺は知らないけど…ルリは俺と同じ前世の世界を知ってる人だからさ」 「……」 「少しだけ、話したかったんだ。多分聞き出せないとは思うけど この後の物語を知ってたら教えといて欲しいし」 車椅子は動き出す。城内の構造をしっかりとは覚えてないけど、リオネルの部屋に向かっているのだろう。 物語なんか二度と巻き込まれたくはないけど、リオネルは主要人物のひとりだし。警戒したいんだ。 「……熊に襲われたのも、攫われて馬車で運ばれて、もう一度断罪するって言われた時も、怖かった。命を脅かされるのって、怖いんだ。」 「…ノア」 「でも俺、今後リオネルに何かあった方が怖い。運命にリオネルが奪われたら…」 「ノアの運命は俺だと言ったろう」 完全に不機嫌な声になったな、と上を向いたら額にチュッとキスを落とされた。リオネルはスキンシップが多いタイプらしい。 俺は恥ずかしいから人の目に触れる所じゃしないで欲しいんだけど。 「あ…フード被ってなかった」 「気にならないなら、そのままで居たらいい。伯爵達も何も気にしていなかったろう」 「……怖がられない?」 こんなに大きな傷、見ていて気分の良い物じゃないし、異質なものというのは人々に不安感を与えてしまう。 一番身近なリオネルと父様達がすんなり受け入れてくれたのは嬉しいけど、全ての人がそうじゃない。 どうしても不安が強くてフードを被り直したら、慰めるように頭を撫でられた。 「眼帯のようなものを作るか。…ノアの姿を俺が独占出来ると思えば気分もいい」 「……変なやつ」 というか、リオネルは王子様らしいけど俺と付き合ってて大丈夫なのだろうか。そうじゃなくとも一年間は俺を探して居たらしいし… ひとつ落ち着けば、ひとつ問題が浮かんでくる。 「うーん…帰ったよって、店長に挨拶したいな」 「またすぐに行けばいい。離れに建てている研究室が完成した頃合で一緒に」 「本当に建ててたの!?」 「ノアの望む物は全て揃える予定だ 」 分かってたけど、とんでもなく尽くすタイプだ…しかも金はあるからタチが悪い。この執着男が… 両想いは嬉しいけど、価値観については大きな差がありそうだなと車椅子を押すリオネルの手を撫でた。

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