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「慶、バスケ好きだもんね。でも慶、泣かしちゃダメだよ」 「だって、ものすげぇ楽しみだったのにさ、ヤマ先の奴が……」 「だからその役、僕が引き受けるよ」  ――えっ?  予期してもいなかった突然の申し出に、ぼくはびっくりして目をパチパチさせたら、ほろりと涙がこぼれた。 「けど、お前は? バスケしなくていいのかよ?」 「うん、今日の体育バスケだったから。ちょっと飽きちゃって」 「そか、サンキュな!!」  自分の馬鹿さ加減に呆れているぼくの目は、悔しくて悲しくて涙がいっぱい溜まっている。  だから、目の前で何が起こっているのかわからない。  でも、ドアが開くガラガラっていう音と、ピシャンって閉まる音がしたから、委員長はグラウンドに行ったらしいことはわかった。  それでぼくはどうしたのかっていうと……。 「さて、君はどこで行き詰まっているのかな? えっと……」

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