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「えっとぼく、千羽 一 っていいます」
自らぼくの面倒を見るという厄介な仕事に名乗りを上げたその人に、ぼくは自己紹介をする。
「イチくんだね。僕の名前は、金色 奏 。隣のクラスなんだ」
そう言うと、金色くんの手がぼくの目の付近まで伸びた。
……コシコシ。
袖で目尻を撫でられて、見えやすくなる景色。
おかげで、ぼくは金色くんの顔を見ることができたんだ。
金色くんは、ぼくの茶色いふわふわくせ毛とは違って綺麗な襟足までの色素が薄い茶色い髪をしている。
オレンジ色の夕日にキラキラ輝いていて綺麗だから、きっと自毛なんだろう。
細い二重の目は、どんぐり目のぼくとはやっぱり対照的だ。とても穏やかで大人っぽい。
左の目尻には小さなホクロがあった。
身長も、ぼくより頭ひとつぶんくらいあるのかな。ずっと背が高い。
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