11 / 89
☆
……ズキズキ、ズキズキ。
痛む胸の理由は知っている。
金色くんに嫌われるからだ。
でも、嫌われたらどうしてイヤだって思うのだろう。
そもそも、ただ嫌いなものを渡しちゃっただけなのに、どうして嫌われるって思うんだろう……。
考えていくと、思い当たるのはただひとつ。
ああ、ぼくは……。
ぼくは、いつの間にか金色くんを、同性としてじゃなくて異性として見ていたんだ……。
金色くんのことを好きになってしまったんだ。
嫌われたかもしれないのに、けっしてあってはならない恋心に気がつくなんて最悪だ。
「さいあく……」
ぼくはマフィンだけを手にしたまま、学校の正門を抜けて家までの距離をまっすぐまっすぐ走った。
「イチくん、待って!!」
そうしたら、ぼくを呼び止める声が後ろから聞こえた。
この声は知っている。
ぼくが好きになってしまった金色くんだ。
彼はぼくを追いかけてくる。
ともだちにシェアしよう!