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☆
「うえええっ」
痛みに耐えられなくなったぼくは地べたにしゃがみ込み、うずくまった。
何に当たったのかと思ったら、目の前には、ぼくよりもずっとずっと背が高い、灰色の電柱がそびえ立っていた。
「……ああ、大丈夫? 電柱が目の前にあったんだよ。だから待ってって言ったんだけど……」
普段、いつも微笑む金色くんの声はとても悲しそうだ。
その声はすぐ真上から聞こえてきた。
「うええっ」
痛い。
……とっても痛い。
痛いよ……。
打ったおでこも。
好きな人に嫌われた心も――……。
どこもかしこも全部痛くて、ぼくの目からあふれた涙が滝みたいに流れ出した。
「ああ痛いね。僕が追いかけたからだね、ごめんね」
ぼくが勝手に電柱にぶつかって、金色くんを勝手に好きになっただけ……。
だから金色くんはぜんぜん悪くない。
それなのに、金色くんは『ごめん』って謝る。
金色くんは悪くない。
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