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悪いのはぼくだ。
勉強を教えてもらって、大嫌いなマフィンを渡してしまって、同じ男の子同士なのに金色くんを好きになった。
全部ぼくが悪い。
悲しい気持ちが喉につっかえて何も言えない代わりに、ぼくはブンブン頭を振った。
「でもね、何か勘違いしてたみたいだったから、待って欲しかったんだ」
……ふわり。
金色くんの手が伸びてきて、ぼくのおでこを撫でた。
勘違い?
いったい何のことだろう?
意味がわからなくて、だけど顔を合わせる勇気がなくて、ひたすら地面を見続ける。
「これだから、イチくんから目が離せないんだ」
えっ?
「僕が慶を誘いにイチくんのクラスまで行ったの。あれ、僕が自分から言い出して呼びに来たんだよ? 知ってた? イチくんのクラスはグラウンドからよく見えるっていうこと……。――慶に怒られて泣きそうな顔をしてたから、放っておけなかった」
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