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「ご、ごめんなさい……」  泣き虫でごめんなさい。  女々しくてごめんなさい。  勉強ができなくてごめんなさい。  たくさんの『ごめんなさい』が、目にあふれた涙と一緒にポロリとぼくの口からはじき出される。  挙げ句の果てに、ぼくはとうとう、えぐえぐとシャクリを上げて泣きはじめてしまった。  泣き止もう。  早く泣き止まないと嫌われる。  そう思うのに、涙は止まらない。 「っうえええっ」  子供みたいに泣きじゃくるぼく。 「イチくん……」  ほら、金色くんがため息混じりでぼくの名前を呼んでる。  嫌われる。  ううん、もう、嫌われたのかも……。 「ご、ごめんなさいっ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ、うぇええっ」  嫌わないで。  嫌いにならないで。  そう願うぼくは、ほんとに女々しい。  男なのに、情けない。  大粒の涙はボタボタと落ちて、プリントが水玉模様になっていく……。 「イチくん……」

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