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 もう一度、金色くんがぼくの名前を呼んだ時だった。  うつむき続けるぼくのアゴは重力に逆らった。  そうかと思えば、オレンジ色の夕日に照らされている、涙で濡れたぼくの顔に影が生まれる。  ……チュッ。 「っふぁっ!?」  教室に、ありもしない聞いたことがないリップ音が聞こえたのは気のせいだろうか。  柔らかい感触がぼくの目尻に当たったのは気のせいだろうか。  へ、あっ、なに?  ドキドキする!  涙は最後の一粒を落として引っ込んだ。 「よかった、泣き止んだ」  ぼくの正面には今にもくっつきそうなくらい至近距離で、にっこり微笑む金色くんがいる。 「あ、あの……ぼ、ぼくっ!!」  ……バックン、バックン。  心臓が大きく鼓動する。 「うん?」 「あのっ、あのっ!!」  ぼくはいったい何を言いたいんだろう。わからないけど、でも、何かを伝えたかった。  だから、ゆっくり口をひらく……。 「すき……です」 「僕も好きだよ」

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