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大好きな金色くんに撫でられて、緊張は少しマシになったと思ったのに、心臓はまたバクバクと鳴り始める。
……バクバク、バクバク。
もう心臓が鳴り止まない。
でも、緊張はいつまでも続かない。
――っていうのも、金色くんの家に来てから何時間もずっと正座したままだったから、足が……しびれちゃったんだ。
しびれを取ろうと思って立ち上がったぼく……。
だけどうまく膝に力が入らなくて、体はそのまま斜めになる。
相変わらずのどんくささに顔がひきつる。
きっとカーペットの上に倒れちゃうんだ。
そう思ったのに、だけど、痛みは倒れてもやって来なかった。
顔を上げればすぐ目の前に、整った綺麗な顔がある。
ぼくの体は、金色くんに支えてもらっていたんだ……。
この距離ははじめてじゃない。
勉強を教えてもらう時も、いつもこんな距離だから……。
……でも、今日はいつも以上にものすごくドキドキする。
恥ずかしいと思うのに、もう少しこうしていたくて、ほんの少し体の力を抜いて目を閉じてみる。
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