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☆
「イチくん……」
どこか苦しそうな金色くんの声がぼくを呼んだ瞬間――。
ぼくの体が、ふわっ、って浮いた。
「ふぇ?」
びっくりして目を開ければ、そこにはやっぱり金色くんの整った顔がある。
でもさっきと違うのは、ぼくの背中にはふかふかな布があるっていうことと、金色くんの後ろは天井だったっていうこと――。
「可愛いイチくん、ぼくの部屋でふたりきりっていうことは、つまりどういうことかわかってる?」
「ひゃんっ」
耳元でボソッと囁かれたらとってもくすぐったい。
思わず体を縮めてしまった。
そうしたら……。
「っふ、んぅっ!?」
なに?
ぼくの口に、生あたたかい何かが重なった。
びっくりして目を大きく開けたら、目の前には金色くんがいる。
なにがどうなっているの?
頭が真っ白になってしまう。
「ん、う……」
……息が、できない。
苦しくなって、口を大きく開けたら、口の中に何かが滑り込んできた。
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