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今まで何も感じないハズだったぼくの胸は、金色くんに撫でられてジクジクうずくようになりました。
「イヤ? でもイチくん、撫でられるの好きでしょう?」
――そりゃ、金色くんに撫でられるの、すごく好きだよ?
でも、でもね? ソコは……。
「やぁっ、ちがっ!!」
首を振りながら見えるのは、いつも微笑んでいる優しい金色くんじゃなくて……。
なんというか、瞳の奥に炎でも宿しているみたいな、獣じみた金色くんの顔だ。
「違うの?」
眉を下げてぼくを見下ろしても全然悲しそうに見えない。
金色くんはこういう時、ちょっと意地悪になるんだ。
楽しんでいるような感じがするのはきっと気のせいじゃない……。
だってホラ、ぼくの胸にあった手は、ぼく自身がある場所に移動していく。
「やっ、ダメっ!!」
ぼくは慌てて体の真ん中にある自分自身を隠そうと手を伸ばす。
それなのに、やっぱりぼくは運動神経がにぶい。
金色くんより反応が遅かった。
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