51 / 89
☆
金色の短い巻き毛に切れ長の目はつり目で、すっと伸びた鼻の下にある大きな口。
足が長くて、背が高い、どこかキツネに似ているこの人は――えっとたしか、校内一カッコいいっていう、とっても人気な3年生の益岡 透流(ますおか とおる)先輩だ。
どうして3年生の益岡先輩がぼくの教室にいるんだろう?
「あれ? 今日はキミひとりなんだ? だったらちょうどいいかな……」
待ちわびていた金色くんじゃなくてちょっと残念に思っていると、益岡先輩の鼻声が耳をついた。
気になったのは益岡先輩の、『今日は』っていうのと、『ひとりでちょうどいい』っていう言葉だ。
それはいったいどういう意味だろうか。
益岡先輩の言葉だと、まるでぼくに用があるみたいな言い方だ。
だけどぼくは益岡先輩とはぜんぜん接点がない。
だって益岡先輩はかなり人気がある人だ。
当然、ぼくなんかが関われるような人じゃない。
ともだちにシェアしよう!