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 金色の短い巻き毛に切れ長の目はつり目で、すっと伸びた鼻の下にある大きな口。  足が長くて、背が高い、どこかキツネに似ているこの人は――えっとたしか、校内一カッコいいっていう、とっても人気な3年生の益岡 透流(ますおか とおる)先輩だ。  どうして3年生の益岡先輩がぼくの教室にいるんだろう? 「あれ? 今日はキミひとりなんだ? だったらちょうどいいかな……」  待ちわびていた金色くんじゃなくてちょっと残念に思っていると、益岡先輩の鼻声が耳をついた。  気になったのは益岡先輩の、『今日は』っていうのと、『ひとりでちょうどいい』っていう言葉だ。  それはいったいどういう意味だろうか。  益岡先輩の言葉だと、まるでぼくに用があるみたいな言い方だ。  だけどぼくは益岡先輩とはぜんぜん接点がない。  だって益岡先輩はかなり人気がある人だ。  当然、ぼくなんかが関われるような人じゃない。

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