面倒見がいい金色くんは頭を下げて、申し訳なさそうに謝る。 　だけど、これは待ち合わせたわけでも約束したわけでもない。 　金色くんが謝る必要なんてどこにもないんだ。 　どこまでも律儀な金色くん。 　そんな彼に迷惑をかけるくらいなら、ぼくは……。 　やっぱり明日、先輩と会うべきなのかもしれない。 　益岡先輩に会って、抱かれるのもいいかもしれない。 　だって、益岡先輩はぼくを好きになったんじゃない。 　ぼくを一回抱いたら、ウジウジしてて気持ち悪いってそう思うだろう。 　好奇心も消えて気が済むと思う。 　――好きな人以外に抱かれるなんてとてもイヤだけど……。 　でも、金色くんを苦しませるくらいならそれも仕方がないのかもしれない。 　そうやって金色くんに誰にでも体をひらく奴だって思われたとしても――。 　嫌われたとしても――。 　それは仕方がないことだ。 　けっきょく、ぼくと金色くんじゃ釣り合わなかったっていうことだから……。