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 ぼくは金色くんから背を向けた。  ズキズキ痛む胸に合わせて涙があふれてくる。  益岡先輩に会うため、『廊下を走ってはいけない』っていう校則を破って教室を出た。  これで金色くんとはお別れだ。  優しくてカッコいい金色くんは、お似合いな優しい美人な彼女さんをつくって、そうやってぼくはひとり、ずっと金色くんを想い続けるんだ。  走りながら絶望に暮れていると――……。  だけど事態はぼくの思い通りにならなかった。 「待ってイチくん、それって、どういうこと?」  ぼくの後ろ。すぐそこまで、金色くんが迫ってきていた。 「うぇっ!?」  やだっ。  なんで金色くんは追いかけてくるの?  だって、ドラマだったらホラ、ヒーローはヒロインの言葉に放心したまま動かないとか、逆ギレして、『ああそうかい!!』とか投げやりになったりするハズなのにっ。  ぼくは益岡先輩がいる屋上目指して一気に駆け上がった。

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