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それも、恋人だった金色くんの目の前で……。
でも今のぼくはもうそれどころじゃない。
どうやっても金色くんとはお別れしてもらわなきゃいけないんだから……。
みんなにぼくたちのことをバラされる前になんとかお別れしなきゃ。
「益岡先輩……。イチくん、話をしよう!!」
金色くんが声をかけてくる。
「やだ!! もう金色くんとはバイバイするのっ!!」
お願い、もう放っておいて……。
じゃなきゃ、金色くんの立場がますます悪くなっちゃうんだよ!!
ぼくはブンブン首を振って益岡先輩の腰にしがみつく。
「イチくん!!」
後ろから手が伸びてきて、ぼくの右肩に手を添えられた。
せっかくバイバイするって決めたのに、今触れられたら、大好きな金色くんの胸に飛び込んでしまいそうになる。
だめ……そんなのダメ!!
「やっ、やだっ」
もう金色くんに迷惑かけちゃいけないんだ!!
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