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「感じてるの? 耳、真っ赤だね? それとも、ああそうか。大好きな益岡先輩に乱れる姿を見られて興奮しているのかな?」  ――違う。  ぼくが好きなのは先輩なんかじゃない。  金色くんだ……。 「っふぇ……やだぁ……」  胸がズキズキ痛いのに、金色くんに触られてジクジクうずく。  ぼくの視界が揺れる。  ポロリと流れる涙はなんだろう。  もう何がなんなのかわからない。  金色くんに翻弄(ほんろう)されるぼくの体はもう、自分の言うことを聞いてくれない。  この手を拒絶することも、逃げることもできない。 「それからココも……」 「っつ!!」  いつの間にか開いていたジッパーからぼく自身が引っ張り出され、握られてしまった。 「胸で感じた? 大きくなってるね」  耳元で笑われて、恥ずかしくなる。 「顔を真っ赤にして、トマトみたいだ」  パクンと耳たぶを食んでくる。 「はぅんっ」

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