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 ぼくは金色くんの腕の中で固まってしまう。  そっと金色くんを見上げれば、先輩にニッコリと笑いかけている。  その笑い方が、どうしてか、とっても怖いと思った……。 「ねぇ、イチくん。僕が大切に想っているキミに庇(かば)われて、しかも僕じゃない誰かに体をひらいてもらって嬉しいと思う?」  そう言った金色くんは、ぼくを見下ろした。  先輩に笑いかけた表情は消えている。  まゆ尻を少し垂らして、ちょっぴり悲しそうに笑うんだ。  だからぼくは、金色くんを慰めたくて、腕を腰に巻きつける。  そしたら、ポンポンって頭を撫でてくれた。  やっぱり金色くんの、この手が好きだ。  ぼくは目をつむって、金色くんに身を任せる。 「先輩、そういうことで残念ですが。イチくんを脅すのやめてくれません? ――あ、そうそう。僕とイチくんのこと、別に言いふらしても構いませんよ? その代わり、僕もきっちり先輩の姿を暴露しちゃいますけど」

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