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☆
「ちょっと!! 何してるんですか、イチくんは僕のですから放してください」
グイッ。
「うわわっ」
ポスンッ。
肩を後ろに引っ張られたと思ったら、今度は金色くんの腕の中にいます。
二人は交互にぼくを抱きしめてきた。
だけど待って?
コレはいつもと違うよ!?
ちょっと待って、ちょっと待ってっ!!
ぼく、あんなに頑張って金色くんとぼくが恋人だっていうのを隠そうとしたんだよ?
それなのに、みんなの前でこうして抱きしめられたら、ぼくの苦労って水の泡になっちゃうよ?
しかも、周りのみんなからの視線がチクチク痛いです。
抱きしめられた腕の隙間からチラリ。
みんなの顔を覗けば、女子も男子も何事もなかったかのようにぼくを見ていない。
なんなのかな……コレ。
いったいどういうことなのかなぁ?
だってさっきまでは、たしかに背中やら後頭部に視線がチクチク刺さったんだよ?
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