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2、プロローグ② ※
早く終わらないだろうかと、今にも擦りきれて壊れそうな頭でぼんやり考えていると、突然扉が開いた。
「……おい、貴様ら」
「ああー? なんだてめぇ、こいつは今俺たちが味見してんだよ。順番待ってろや」
「……」
下卑た笑いを浮かべる男たちへと、カツカツと高らかに靴を鳴らしながら近づいてきたのは、長身の男性だった。逆行で容姿はよく分からない。次はこの人の相手をするのか…と気が滅入る。
「がっ……!」
突然、俺をなぶっていた男が一人蹴り飛ばされた。呆気にとられて見ていると、さらにもう一人蹴りあげられた。
すると、今度は別の声が扉の奥から聞こえてきた。あれは、主人か。
「だ、旦那~!やめてくださいよ!お客さんに手を出さんでください!」
「黙れ。俺を誰だと思っている。なぜこいつらに指図されねばならんのだ」
「いやいやそう言われましても…」
「おいこら!こいつは何なんだ!」
俺の咥内を穿っていた人物が立ち上がり、青年に殴りかかる。しかし青年は少しずれただけで避け、あまつさえ足をかけて転ばせた。
さらに、転んだ男の頭を踏みつけ、蔑んだ目を向ける。
「学の無い貴様に教えてやろう。俺はヴィーデナー家の当主だ。ここ一帯を取り仕切る頭くらい、顔を覚えておけ。愚か者」
「ちょ、旦那、それくらいに……」
「いくらだ」
「は?」
「こいつはいくらで買われることになっていた」
「あ、ああ、そいつですか?ええと、」
「まぁいい。その3倍出してやろう。こいつは買い上げる」
「お、お買い上げなさるんで?!」
主人の言葉を無視し、男は俺のそばへと歩み寄る。そして、壁際に追いやられる。
…何、この状況…。
「お前の名前は」
「……」
驚き、硬直する俺の顔の横を、拳が通りすぎた。壁が抉れるのではないのかというほどの、大きな音がした。
「俺の言葉には、3秒以内で答えろ」
「……っ」
「もう一度だけ聞いてやろう。お前の名前は」
「…っ、に、ニィノ……」
「そう、それでいい」
男はにやりと微笑むと、俺を壁に押し付けてきた。息が無理矢理押し出された。苦しい。
「お前は今日から俺の所有物だ」
これは、俺と彼の、歪んだ関係のお話。
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