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4、自分の役目
「俺、自分一人で洗えますから!」
「そんなこと言わないでください! 俺の仕事ですし、洗わなかったら旦那様に叱られてしまいます!」
「うう……」
屋敷に着いて早々、俺はお風呂場に連行された。そして旦那様はどこかへ消え、代わりに俺と同年代くらいの少年が現れた。どうやらこの屋敷の人らしい。俺のことを洗うために来たと言っているが、生まれてから今まで18年間、誰かに洗われた記憶なんてない。
「わっぷ!」
「すいません!あの!目を閉じていてください!あと口も!」
ごしごしと、性的な動きなんて微塵も感じさせない手つきで洗われる。なんだか洗濯物にでもなった気分だ。
「湯船はどうしますか?」
「…は、入らないで、大丈夫です…」
「分かりました!」
俺を洗ってくれた少年は、太陽のような笑顔を見せる。旦那様の笑顔とは全く違う。
「あ、あの、これ着るんですか…?」
「はい、旦那様が用意されたものですよ!」
「こ、これはちょっと」
「お似合いです!」
「でも、」
「旦那様も喜ばれます!」
どうやら少年はかなりの強引さを持っているようだ。有無を言わせない迫力がある。
というか、旦那様は、俺のことを…もしかして女の子だと勘違いしているんじゃないだろうか……
ヒラヒラしたレースが目立つ服を眺めながら複雑な気持ちになる。
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