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第7話

「近けぇな。寄るな」 「エレベーターになんか戻って、どこに行くつもりだ」 「Ωの子のとこに泊まりに行くんだよ。俺はΩと女の子との遊びで忙しいの」 「Ωか女か、どっちかまだ決まってないのか。本当は行く当てなんて、ないんだろ」  適当に外へ逃げるためのボタン……1階を押して嘘をつく俺を見透かしたように観音寺が笑う。  俺はポケットの中の催涙スプレーとスタンガンを握り締める。 「……」 「……」  静寂の後、観音寺が急に俺の腕を引っ掴んだ。  両手ともポケットに突っ込んでるのは変だったか。俺は心の中で舌打ちをしつつも掴まれた腕の方――催涙スプレーを観音寺に噴射する。 「うわっ」 「あばよ、クソ野郎。誰も帰らねえ俺の部屋の前で待ち伏せでもなんでもしてろ」  俺は携帯電話で仲の良いΩの子に連絡を取った。  泊まりに行っても良いかと聞けば、強いαである俺をその子は喜んで受け入れる。  その日から俺は、俺の取り巻きのΩの部屋を連日泊まり歩いた。女の子の部屋にも行ければ自由度が増すのだが、男子寮と女子寮は別で、お互いの寮を行き来することは禁止されている。  勿論、生徒会会計である俺は皆のものだ。  誰か一人の所に留まったりはしない。  それでも観音寺が待ち伏せしているかもしれない自室に近寄るよりかは居心地よく過ごせた。 「真城君、今日は泊まっていくでしょ」  俺のことを慕うΩの子の一人の部屋に今日も俺は忍び込む。 「勿論。気持ち良いことも、一緒にしようね」 「あははっ。うん!楽しみにしてる」  Ωの子を抱くのは、心地が良かった。  連日泊まり歩いているせいでコンドームの予備が切れてしまいそうなのでそろそろ補充しなければならないが、今日の所はまだ大丈夫だろう。  そう踏んだ俺はΩの子をそっとベッドに押し倒す。  Ωの子は俺の首に腕を回そうとして――ドンッ。俺は目の前のΩに突き飛ばされてベッドからはじき出されていた。 「? どうしたの?」  聞く俺に、Ωの子が自分の身体をかき抱くようにして身を丸める。 「ヒート……ヒートが来た」 「嘘」 「予定日はもう少し後のはずなのに……真城君、ゴメン、帰って」  途端に、周囲が甘い匂いで埋め尽くされる。  Ωのフェロモン。  その効果は絶大で、ましてやヒート中のΩを前に、頭の中が沸騰する。  噛みたい。  挿れたい。  犯したい――Ωを。  突然の衝動に俺は吐き気を催しながらもΩの子を一人残して必死の思いで部屋を出る。  誰か、他の泊めてくれる奴を探さないと。  頭ではわかっているが、ヒートになったΩに当てられて俺もラットを引き起こしていた。  我慢しているが、勃起が止まらない。  誰かの肉の中にこの硬いものを打ち込みたくて仕方がない。  勃ち過ぎて痛い。  頭もくらくらする。  もし今Ωの生徒とすれ違いでもしたら、すぐにでも襲ってしまいそうだった。  あれから何日も経っている。  観音寺はいない。はずだ。さすがにもう。  いや、頼むから出てくるな。  そう願いながら自分の部屋のフロアに辿り着くとフラフラとエレベーターを降りる。 「……真城」 「……嘘だろ」  なんでいるんだ、このストーカー。  俺は俺の部屋の前で待ち構えていた観音寺の腕の中に倒れ込んだ。

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