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第26話 欲望※R18
盤が広げられる。
以前のような対戦ではない。
二人で一つの軍を動かし、城塞を守る防衛戦。
「ここを捨てれば敵を誘導できます」
「だが中央が薄くなる」
「その代わり、こっちから挟める」
自然と顔が近づき、駒を動かす指先が触れ、思わず肩が跳ねた。
だがヴィルユーグは平然としている。
「お前は私の思考を読みすぎる」
「陛下が分かりやすすぎるんですよ」
「ヴィルだ」
「……ヴィル」
訂正すると、ヴィルユーグが少し満足そうに目を細めた。
夜がとっぷりと更けて。
ゲームを終えても、ヴィルユーグは何も言わなかった。
以前なら当然のように「寝るぞ」と言ったはずなのに。
今は待っている。
俺が選ぶのを。
侍女が淹れてくれたお茶も、もう飲み干してしまっている。
空になったカップを見つめながら、俺は小さく息を吐いた。
「……今夜は、もう少しここにいてもいいですか」
なぜ、一瞬でも離れがたいと思ってしまったのか。
ヴィルユーグは俺の顔を見ると、つと口角を上げた。見惚れるほど男前な顔だ。
「それは……誘っているのか?」
「なっ……!」
「冗談だ。長旅で疲れただろう、寝るぞ」
ヴィルユーグに促されるまま、リヨンは寝台へ腰を下ろした。
灯りを落とした後。
静かな暗闇の中で、ヴィルユーグがぽつりと呟く。
「……お前といると満たされる」
俺は息を止めた。
今まで、誰かにそんな風に言われたことなどない。
胸の奥が熱を持つ。
「だが、次から次へと欲が出て敵わん」
「え……」
薄闇の中、ヴィルユーグと視線が合う。
そっと頬へ手が触れた。
「ヴィル……?」
低い呼吸。
近づく気配。
「嫌なら、逃げてくれ」
静かに唇が重なる。
熱に浮かされた時とは違う。
優しく、大切に触れるような口づけだった。
「ん……」
角度を変えて、何度も唇が押しつけられる。
柔らかく包み込まれるような感触に、体の力が抜けていった。
離れた後、ヴィルユーグが低く囁いた。
「……少し、触ってもいいだろうか」
ぞくり、と体の中心に痺れのようなものが走った。
先ほどのキスの余韻でぼうっとする頭では考えきれず、反射的に首を振ってしまう。
すると、寝間着のシャツを託し上げられ、手のひらがするりと地肌に触れた。
「あ……」
外気に晒された肌に、熱い体温が気持ちいい。
俺に触れている間、ヴィルユーグは何も言葉を発しなかった。それでも、触れる手や息遣いが熱っぽくて、興奮していることがわかる。
自分よりも大きな手が、上半身を這いずり回る。
それがヴィルユーグによってなされているという事実に、俺まで気持ちが昂ってきていた。
そして、ある一点が掠められた時、俺は思わず小さく声を上げてしまった。
「ぅ……あっ……」
それがスイッチだったのかもしれない。
日頃はただの胸の飾りなのに。
俺の反応に色よくしたヴィルユーグが、そこを執拗に触れてくる。親指で押したり、摘んだり。
その度に、体がビクビクと震え、下半身に熱が溜まっていく。
我慢ができなくなった俺は、思わず腰を上げて目の前の男に擦り付けてしまっていた。
同じ男だ。リヨンがどんな状態になっているのか、すぐにわかったのだろう。ヴィルユーグの手が下へと移動する。
下履きを膝の辺りまで下げられる。
ひやっとした感覚が、急に俺の意識を現実へと向けた。
「ちょ……っ、そこは……!」
まずい、まずい、まずい。
グラディウスに来て、それからアルヴェリアに帰り、またここにいる。その間、俺は一度も自分を慰めることをしなかった。
そのつけなのか、少しでも触れられるとすぐに達してしまう、そんな予感があった。
「だめっ……、自分でするから、そこはさわらな……あぁっ」
静止も虚しく、ヴィルユーグの手によって俺のものが包まれる。
「リヨンが自分でして見せるのも良いが、今夜は私にさせてくれ」
誰が自慰を見せるなんて言った、と怒りたかったが、そんな余裕もなくただただ手技に翻弄されてしまう。
「んっ、んっ……うぁ……」
悔しいが、気持ち良すぎる。
他人に触られたことのない体は、初めての性的な感覚に溺れていた。
頭の中は出したい、という欲求でいっぱい。
「うぅ……でる、でちゃうから……」
あと一歩、というところで、不意にヴィルユーグが手を離した。
(え……嘘だろ……)
こんなところでやめるのか!?と絶望と悲しみに襲われ、自分の手をそこに持っていこうとした瞬間。
手なんかよりずっと熱くて、質量の重いモノがリヨンのそれに触れた。
「え……」
「悪い。触るだけと言ったが、もう少し……」
「あっ……!っ……ふ……」
リヨンに触れているモノが、ヴィルユーグの男根であることだと気づくのに時間はかからなかった。
二本まとめてヴィルユーグの手で擦られ、その大きさが直に感じられることに俺の頭は沸騰しそうだった。
(なんて、大きさなんだ……!?)
直接見てはいないから、実際にどれくらいかはわからない。それでも、ヴィルユーグがどれほど俺を欲しがっているのかをまざまざとみせつけられ、俺は拒否することも忘れてただ喘ぐしかなかった。
「ヴィル、いく、から……出させてっ」
俺の懇願に、ヴィルユーグは頷いた。
「ああ。私も、もうもたない」
きゅっと力を入れて擦られ、俺の体はびくんびくんと跳ねた。
「あっ、くっ、ぅう……っ」
「……ッ」
ほぼ同時に白濁が噴き上げ、二人の腹を濡らす。
ここまでが、俺の昨夜の記憶だった。
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