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第3話 歓迎会
歓迎会と言っても、みんな車だからお茶とコンビニの袋菓子で30分ほどで終わった。
何をやるにも田舎じゃ盛り上がらない。遊びに行くところもない。
長テーブルを拭いて畳んで奥の物置に運ぶ仕事が残っていた。俺も慣れていなくて、森野さんが声をかけて来た。
「一緒に運ぼう。」
パイプ椅子も畳んで片付けた。
「スーツじゃ大変でしょ。」
上っぱりの下はトレーナーとジーンズの俺は気楽だった。
「明日からスーツ止めようかな。」
「決まりがあるの?」
「うん、何となく、ね。」
「スーツは男の戦闘服だからな。」
係長が肩を叩いて言った。
「俺たちはバイトみたいなもんだから戦闘服はいらないってか。」
じいちゃんたちと俺は私服に上っぱりでいつも働いている。
「僕はアパート探してるんだよ。」
「空き家ばかりで、アパートはないよ。
一人暮らしをするの?家族は?」
「え、独身だよ。一人で東京のアパート暮らしだったけど通勤が遠いからこっちに来ようかな,と思って。」
これから東京まで帰ると言う彼を駅まで送った。他の二人は帰ったのだろう。
「可愛い車だね。ミラココア。
パールグリーンもすぐわかるからいいね。」
「よく、女の乗る車だと言われるよ。煽られる。
緑色が好きなんだ。」
「僕も車必要になるね。」
「軽自動車がいいよ。小回りが利くし、狭い農道も通りやすいし。」
「田舎って土地は広いけど道路が狭いもんね。」
(すごく話しやすい人だ。きっと東京のいい大学を出てエリートなんだよな。
高卒とは生涯収入も全然違うって言うもんな。)
俺はまた、卑屈な考えに落ち込んでしまう。
帰って来てベッドに倒れ込む。倉庫中を走り回って商品をピッキングする。意外とクタクタだ。
今まで引きこもっていたから体力が衰えている。
(森野さんはスポーツとかやってたかな。)
なぜか思考の基準が全部森野さんになっている。
次の日、フォークリフトをカッコよく操作している森野さんを見かけた。
「なんか、二交代制になるって。
深夜も荷物が滞らないように,だって。」
また、キツいシフトになりそうだ。
「労働基準局は大丈夫なの?」
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