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第7話 古民家診断
先ずは水回り。一番大事な所。そして耐震、断熱。木材、土壁。
「本物の素材でしっかり造られている。
柱も梁も素晴らしい。修復のやり甲斐があります。」
ベタ褒めだった。三人とも古民家が大好きなのが伝わって来る。
俺は小野田と名乗った人から目が離せない。
(こんな事ってあるだろうか?
俺の好きな俳優にそっくりなんだ。
ずっと好きだった。今でも大ファンだ。
本人のはずはないが。)
「失礼します。」
大工さんたちが家の中を見て回った。外回りと屋根も見ている。脚立を持って来て天井から上に登った。思いがけない身の軽さだった。
俺は惚れ惚れと見ていた。
ニッカズボンに地下足袋スタイルがカッコいい。
身軽なのが忍者のようだ、と場違いな事を思った。梯子をかけて屋根に登っている。
寄せ棟の大屋根は相当高い。そこをひらりと登る。
「屋根はしっかりしてますね。
大規模な葺き替えはいらないでしょう。」
山口さんの説明に
「俊、いい家を見つけたな。」
「小野田さん、僕の事覚えていてくれたんだ。」
「すぐにわかったよ。大きくなったな。
もう社会人だって?」
「はい。小野田さん,ウチの親父から声がかかったんですか?」
「ああ、何年ぶりかな。
この頃では本気の大工は需要が減った。
森野の親父から連絡が来て嬉しかったんだ。」
「僕も小野田さんに依頼できて嬉しいです。」
「ウチの優秀な大工の山口と見習いの酒井だ。
これからしばらくお世話になるよ。」
「あ、こちらは同じ会社の田神くんです。」
「ああ、どうも。」
「酒井です。俺たち高校の同級生だったんです。
田神くんと俺。」
「へえ?奇遇だね。」
「明日から資材を運び込みます。」
鍵などはない古民家だった。
「お任せします。」
と言う事になった。俺は小野田さんから目が離せない。その優しそうな笑顔の裏に厳しさが見え隠れする。職人の厳しさか?
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