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第8話 宮大工
「お子さんいらっしゃるんですか?」
「え?何だ、突然?」
「なんだよ、田神くん、小野田さんに聞いてるの?知り合いだった?」
「いや、初めて会ったんだよね。
俺の事知ってたのか?」
「いえ、何となく聞きたくなって。」
みんなが帰ってから森野くんにしつこく聞かれた。何で小野田さんを知ってるのか?
全く知らない。けれど気になった。
「田神くん、男好きなの?」
「待ってよ。何でそうなるの?」
俺はもっと小野田さんと話をしたかったが、今日の仕事が終わったら帰ってしまった。
「男が好きか?なんて面白い事言いますね。
森野くんはそっちの趣味ですか?」
「いや、僕はノーマル。ノンケです。」
なぜか二人で慌てた。
「俺、役者の萩原鷹尾のファンなんです。
小野田さんって萩原鷹尾にそっくりですよね。」
「ああ、ジャンガリオンの。
スーパーヒーロー物、僕も好きだったな。
今でも萩原鷹尾っていい役者だよね。」
「そう、そう、そうなんですよ。
俺の心の支えなんです。」
古民家の片付けをしながら役者、萩原鷹尾の話で盛り上がった。
「明日も仕事でしょ。泊まって行けば。」
「シフトBだから、遅番なんで、俺、帰ります。」
「時間がくるくる変わって大変だよね。
体調おかしくなる。僕、会社に抗議するよ。」
「ああ、そう言うことはみんなで言わないと。」
古民家修復は意外と楽しい。太い梁や柱が力強く安心感がある。この頃のぺらぺらした建物と違う。
しっかりした寄せ棟の古民家は住み心地もよさそうだ。思ったより大きな屋根を小野田さんたちが身軽に登っている。
「若い頃は、野丁場を渡り歩いたが、今はハウスメーカーの下で働く事が多くなって嫌気が刺した。町場の施主と顔の見える関係がいい。
それで宮大工に弟子入りしたんだ。」
木組みなどの丁寧な仕事ぶりも覚えたかった。
小野田さんは毎日来るたびに色んなことを話してくれた。
俺は小野田さんの男っぽさに惹かれて行く。
「なんだか俺、ここに住み着いてしまったな。」
竈門でご飯を炊くのが上手くなった。
「田神くん、料理上手だね。」
カレーとか煮込み料理ばかりなのに、みんな喜んで食べてくれる。
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