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第11話 深夜勤務

 今日はAシフト。9時から17時。正社員と同じ勤務時間だ。  この前の社長のリモート朝礼が尾を引いていて仕事量が半端ない。 「働いて働いて、って総理大臣の真似して社長がハッパかけるのうざい!」 「シュンはそんな大それた事,言えちゃうんだ?新入社員のくせに。」 「ああ、息子だから、な。」 「やっぱりそうだったのか? だったらこの勤務時間、改善してくれよ。」  こいつは正社員様。だから日勤しかない。九時から五時。ツラい深夜勤務はないのだ。  腹が立って来た。それに倉庫を走り回って商品を探す苦労もない。ほぼ、事務所で座っている。簡単なパソコン操作だけだ。 「シュンも今度Cシフトに入りなよ。 深夜勤務は2倍疲れるから。」 「そうだな、わかったよ。シフトに入れてもらう。」  素直なやつだ。 次の日、俺と一緒にCシフト(深夜午前1時から9時まで)に入った。  タブレットを渡して 「これ、全部ピックアップするんだよ。 俺が毎日やってる分量だから。」 「うん、わかった。」  カートにタブレットを取り付けてスタートだ。 ちょっと意地悪だったか、と気にして見ていた。  頭のいい奴だからスムーズに操作して始めた。 (別に心配いらないな。)  午前3時のチャイムが鳴って休憩時間だ。昼間と同じ、3時のおやつの時間。  青い顔をしたシュンがこっちに来た。普通ならもうカート一台分くらい終わっているはずだ。 「カイーッ。これ全然探せない。まだ半分も終わらない。」  涙目になっている。 「倉庫が広くて、商品が多岐に渡る。 一々探してると時間がなくなる。」 「慣れ、だよ。商品の傾向が同じなら棚も同じ。 そのうち全部頭に入るよ。」 「カイはすごいな。」  真剣な顔をして俺を見つめるシュン。可愛いな、と思ってしまった。 「古民家の改装はどう?進んだ?」 「うん、毎日小野田さんたちが来てる。 一緒に作業したいけど、邪魔になりそうで。」 「ふーん、毎日来てるんだ?会いたいなぁ。」 「何言ってんの?カイ,恋人みたい。」 「は?何言っちゃってんの? それは俺のセリフ。仕事、教わりたいんだよ。 それだけ。」  シュンがキスして来た。やめろ! ここはカメラだらけなんだよ。

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