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第13話 悪ノリ
「こうしてみんなで酒飲むの、初めてだね。」
シュンが嬉しそうに言う。
「俺、酒とかあまり飲んだ事ないんだ。」
ケンタが心配そうに言った。
シュンがどうしても置きたい,と言って土間の隅に薪ストーブがある。囲炉裏も作ってもらった。
煙が寄せ棟の屋根から抜けるようになっている。囲炉裏は田の字の座敷にあって、大きな梁から自在鉤がぶら下がっている。
囲炉裏端でイワシを炙る。
「肴は炙ったイワシでいい♩」
調子っぱずれな演歌が飛び出す。
みんなしたたかに酔っ払った。炊き立てのご飯で握っておいた塩むすびが妙に美味い。
一人、乱れもせず渋く茶碗酒を飲んでいるのは崇さん。酔いが見えない。
シュンが酔っ払って崇さんの膝に座った。
「子供の頃、こうして抱っこしてもらったよね。」
「おまえ、身長どれくらいだ?」
「えーと、180センチかな。」
「もう膝は無理だろ。降りてくれ、重たい。」
「何だよ、久しぶりに甘えたかったのに。
崇おじさん。」
「無理無理、デカ過ぎる。」
俺は酔いが冷めるのを感じた。
(俺の崇さんになんてことするんだよ!)
酔っ払って畳で寝てしまったシュンを見て,俺は憎しみを覚えた。今まで同じ土俵に立つことはない、生きてる世界が違う、と距離を置いていたシュンに嫌悪感が湧いてくる。
「奥の座敷にみんなの布団を敷きます。
雑魚寝でいいですよね。」
布団はたくさんあった。社長が贈ってくれたのだ。改築祝い?
「カイ、風呂に入って見ないか?」
改装して一番力を入れたのは水回りだった。
風呂だけは現代的な便利なものにした。
「薪で沸かす風呂じゃ、毎日入るの大変だろ。」
と言うことで、趣きはないが今風のきれいで便利な風呂が出来ていた。大屋根の下、半露天で湯船が大きい。
今夜はみんな酔い潰れてしまって、風呂に入れるのは俺と崇さんだけになった。
「一緒に入るか? 広く作ってあるんだ。
男同士だし、一緒に入ろう。
タオルとかはあるんだろう?」
「はい、シュンの家で用意してくれてます。」
崇さんと一緒に風呂に入るって、いったいどうしたらいいんだ?
絶体絶命だ!恥ずか死ぬ。
広い風呂だった。大勢で入れる⁈
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